社長コラム 大田花き代表取締役社長 磯村信夫のコラム

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2018年09月10日

今年の9月9日「重陽の節句」


 昨日の9月9日は「重陽の節句」で、一輪菊の中でも、特に洋菊のディスバッドマム※の売出しを行った。しかし、都内の店舗を見ると、先週の台風と北海道の地震で、9月9日はむしろ「救急の日」を前面に押し出した様相を呈しており、「重陽の節句」は霞んでしまった感があった。その結果、猛暑で作柄があまり良くない中出荷頂き販促に努めたが、残念ながら完売という訳にはいかなかった店舗がある。しかし、花き業界としては、これからも9月9日「重陽の節句」を文化行事として取り上げ、一般の人たちに知ってもらえるよう努力したい。

 さて、秋の彼岸需要が始まる。その前に、土曜日休みを入れると、月曜日まで三連休という週が二週間続く。その中に「敬老の日」と「お彼岸」がある。花は三気商売だ。「売るに天候、作るに天候」の“天気”、そして、“景気”、最後に我々花き業界人の“やる気”だ。これが掛け算になって業界の売上を作っている。昨年は早めに涼しくなって秋の需要が高まった。しかし、今週の関西・中国地方、そして北海道地方の需要基盤は、平常に戻りつつあるがまだまだ万全とは言えない。「花き園芸を楽しむ」という、安心した日常生活が送れるまで時間が必要な人たちがいる。そして供給面でも、度重なる台風、豪雨により、この9月期、10月期の出荷物に大きな被害をもたらし、彼岸期以降に出荷する商品への影響も心配される。燃料の高騰まで含め、国内生産者にとっての不安材料は多い。しかし、起きていることは仕方がない。生産者と共にどのように最善を尽くしていけるか。「花作りをしていて良かった」と思ってもらえるか。その実現に向けしっかり仕事をしていきたいと思う。現時点では、更なるコミュニケーションを図り、同一目標を持つ。そして、それに向けて進んでいくことである。

※ディスバッドマム:
脇芽(bud)を整理して(dis)、一輪の花に栄養分を集中させることで大きく、豪華に仕立てた菊のこと


投稿者 磯村信夫 11:05