社長コラム 大田花き代表取締役社長 磯村信夫のコラム

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2018年09月03日

今、日本で必要なこと


 ヤマトホールディングス子会社による、「引越し金額水増し問題」が尾を引いている。ボクシング連盟の問題も日大アメフト問題も、そして最近の体操女子の告発問題もそうだが、信頼性、透明性において、どうも日本はいまひとつだ。海外ニュースでの取り上げられ方を見ても、世界から分かりにくい、何か不透明な格差があるように捉えられている。

 今度の改正卸売市場法の政省令案では、中央卸売市場の卸売業者の委託手数料や出荷奨励金等の取引条件を、事前にインターネットで公表する義務があると規定されている。これはEUでは当たり前の“アカウンタビリティ”の問題だ。卸売市場だけの話ではない。今まで、中間流通の手数料率については殆ど問題視されてこなかった。しかし、保険や証券会社、銀行や各取引所、旅行代理店等々、あらゆる仕事のプラットフォームビジネスや流通業、ネット販売業者においては、どのような手数料率であるか明確であることが必要だ。これは生産者や購入し再販する人にとって必要なだけではない。消費者にとっても、真に欲しいものが透明性を持って、サステイナブルな価格で供給されるかどうかがとても大切なのである。その為に、旅行代理店にしても航空会社にしても、今後複合的なサービスを行う上で、きちんとしたメニュープライシングになっているのだろうか。「全てを丸めた数字〇〇」では困るのである。不透明な決め方はパワハラがあると見るべきだ。だから、大切なことは透明性と信頼性であり、格差ではなく、区別の範囲内で違いがあるべきである。

 アジアの中でも、日本は香港やシンガポールに比べて本当に遅れている。農産物の国際基準である「グローバルGAP」において、日本は東京オリンピックを前にし、ようやく世界の標準レベルにしようと努力している。しかし、「GDP(グッド・ディストリビューション・プラクティス=適正流通基準)」となると、日本ではまだ医薬品のGDPを対応しようとしている段階だ。GDPの角度から花き業界を見ると、水バケツと乾式バケツは花もちが変わらない。むしろ水が温かい方が、バクテリアが発生したり咲きすぎたりしている。これをどう検討していくかが課題となる。

 繰り返すが、アカウンタビリティがきちんと為されていること、そして透明性があること。格差ではなく区別の範囲内であること。日本社会はこれらが最も重要な課題となっているのではないだろうか。素晴らしい国になる為、今、業界のうみを出している最中だ。早く出し切りたい。


投稿者 磯村信夫 15:49