社長コラム 大田花き代表取締役社長 磯村信夫のコラム

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2019年11月11日

二極化は避けて通れない


 日本社会でも、二極化が進んでいるように思う。花の場合も、専門店ではパパママストアが減少し、ショッピングセンターに入ったりして、チェーン展開しているところが活躍している。また、家庭需要では、専門店よりスーパーマーケット等の量販店がお買い場として多くなっている。本年が総務省の調査年だが、今までの傾向と比べてどうなるだろう。

 専門店だけを見ても二極化が進んでいるが、農業分野も同様に法人が増えている。畜産園芸分野ではいずれも大規模法人が売上の半分以上を占めており、今後、この二極化はますます進むと言われている。農地解放をした日本では、農協の作物部会ごとに共選共販しているところが多い。小農家が集まって共選している場合もあれば、法人も一緒に入っているところもある。そして、これら農家のサービスセンターである農協や経済連、全農県本部は、農家に対するお役立ちの機能を変えていかなければならない局面にきている。規模の二極化からニーズが違うのだ。どうすれば地元の生産者のニーズを汲み取り、より競争力のある農業生産が出来るか、検討の時期にきている。これは、卸売市場も同様のことが言える。既に卸・小売流通業とも系列化が進んでいる業種が多いが、国分グループや三菱グループのような大規模卸売会社系列の傘下に入っていくのか、とりあえずは水産・青果・花きの品目別卸売市場のネットワークの仲間に入るのか、またこれが将来、系列化に繋がるのか。この段階に来ている。花の場合、今のところ大産地は東西の卸売会社に出荷し、大手の仲卸や花束加工業者、チェーン展開している小売業は、出荷者から市場外流通で直接仕入たり、いくつかの卸売会社から価格や品揃えを見ながら調達している。既に売り悩みから選択肢がいくらでもあるようになっているのだ。この中において、料理やブーケの最終商品の前段階まで、生鮮食料品花きの流通業は差別化が難しく、コストリーダーシップ戦略の価格競争にならざるを得ない。そしてこれが農協改革、卸売市場法の改正、各県の新条例設定で、更に利益の出ない価格競争になってしまうのではないかと危惧している。
 
 生き残りをかけて、どこと組むか、廃業か、そのギリギリのところまで畜産・園芸品の生産販売の各組織は来ている。まず、生産から小売までのチームを組む。そして、自分のチームがバリューチェーンになるように、また、他のサプライチェーンチームに負けないようにする。更に、縦のサプライチェーンのチームだけではなくて、同業者ともチームを組む。この方向で、それぞれの組織は生産者と消費者、その手前の小売業者に役立とうとしている。

投稿者 磯村信夫 16:29