社長コラム 大田花き代表取締役社長 磯村信夫のコラム

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2018年07月02日

中国の離婚式


 昨日の日曜日、ホテル内にあるスポーツクラブへ行った。汗を流した後、風呂から上がり、係の人に「この頃、風呂場や洗面台の使い方、マナーはどうですか」と聞いたところ、「特定の人は、扇風機もつけっぱなしだったり、洗面台も汚しっぱなしだが、大体の人は、ゴルフ場の洗面台の使い方と同じように、周りをタオルで拭いたり、綺麗に使ってくれています。でも、先日、中国のツアーのお客様がいらっしゃった時は、少し酷かったですね」とのことだった。最近は、中国のツアー客が随分とルールを守ってくれるようになったが、日本人からすると、5S(整理・整頓・清潔・清掃・躾)が行き届いていないかもしれないと思った。

 現在、中国でパスポートを持っている人は1億2千万人いるという。ついこないだまで爆買いしていた新中間層は、今は日本文化を楽しむため日本の様々な場所を旅行しており、買う商品も変化してきている。中国はとても豊かになってきた。だから、日本にもこんなに沢山の中国人が来て、日本を楽しんでくれている。

 私は、毛沢東の時代から中国に何度も行っており、彼らの素晴らしさが分かる。毛沢東は1949年の独立後、「天の半分は女性が支えている」とし、女性の社会進出や、「家庭」も男女が一緒になって作っていくものだと提唱した。中国が一人っ子政策を定めたのは、1982年、鄧小平の時代だ。だから、今の30代以降は一人っ子の人が大半で、「421社会」と言われる。祖父母が“4人”、両親が“2人”、そして、本人の“1人”だ。みんなが子ども一人を大切に育て、期待しているから、大学進学率は約50%に上る。しかし、これでは日本と同様、少子高齢化になっては困ると、2015年、「二人っ子政策」で正式に子ども2人を認め推奨している。

 21世紀になって大ヒットした、中国の人気映画『非誠勿擾(本気でないなら構わないで)』という作品がある。北海道が舞台だった為、中国の北海道旅行ブームが起こった。そして、2作目に描かれているのが、「離婚式」である。テレビ番組や映画は、事前に中国共産党の認可が必要だから、政府が内容を認めているということだ。上海や北京や深圳の人々の、実に四割は離婚する。今の中国は1年間で1,000組強が結婚し、400組以上が離婚するのだ。

 私は、中国のこの実態を花消費のビジネスチャンスと見ている。日本は、二回目の結婚で式を挙げる人は、芸能人以外では殆どいないのではないだろうか。一方、中国人は、さばさばしているのか、1回目も2回目も式をして花を飾る人が多い。また、離婚式も行う。これは大変面白いことだ。しかし、来世を信じる宗教を持たない人が多いからだろうか。中国の大陸ではお葬式には殆ど花が使われない。儒教や道教の台湾、儒教やキリスト教、大乗仏教の韓国では、日本と同様に、葬儀に花は欠かせないのだが。中国といっても、地域によって文化が異なるので、少しは使っている所もあるかもしれないが、基本的にはこのような現状だ。

 7月7日の七夕は、中国圏では「恋人たちの日」で、とても花が売れる日だ。一方、日本では笹の葉と短冊に願いを込める。それぞれの文化を知るということは、花のビジネスに欠かせない。日本からの花の輸出を考えた時、中国の花の物日や使われ方をしっかり勉強し、ビジネスチャンスを探っていこうと思う次第である


投稿者 磯村信夫 17:18