社長コラム 大田花き代表取締役社長 磯村信夫のコラム

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2017年12月04日

下半期の市況


 先週末、松・千両の荷主さんへ、恒例となっている陣中見舞いに伺った。今年は昨年よりも一層、人手不足感が強い。収穫や出荷調整が一時にくる松や千両からすると、作るには作ったが切りきれない。あるいは、出荷調整が大変難しい。また、日本文化の伝統に根ざしている物だから、代々の価値基準である品物の良し悪しにうるさい。ベテランが率先してやらないといけない品目なのだが、価値を見極められるベテランが高齢化してしまっている。さらに、一時期に大人数を集めるのも大変なのに、今年10月の長雨と、台風21号が効いている。そして、野菜の高値で分かる通り、塩害が酷い。松の出荷量は、不作で昨年より2~3割は少ないのではないか。千両は、千葉方面に葉が黒くなる被害が出ている。そんな現状からだろうか。例年だったら、12月に入ると、もう他の市場の人に現地で会うことはないのだが、心配で仕方のない市場の方々が来ていたようだ。

 専門店は無論のこと、量販店は、「お客様主義」と言いながら、相場が高くても普段の値段で買おうとする。そういう“バイイングパワー”を納品業者に与えている。しかし、消費者に説明し、理解して頂ける範囲内で価格UPを図ることが、本年の松・千両市での、市場としての販売の仕方だ。今年は特に、生産者のご苦労は大変なものだ。台風被害のあった房総半島の南側では、山にまで塩害があり、紅葉しているのかと思う程、赤くなってしまっている。そうなってしまうと、椿は強いが、他の植物はやられてしまう。寒さもあるだろうが、もう一度植え替えを行い出荷にこぎつけるまでには、今しばらく時間がかかろうというものだ。

 高すぎたものは是正され相場が波打つが、ベースにある人手不足、その上の天候被害、これを考えると、3月くらいまでは、青果と花きの出荷量は例年より少ないと見るのが正しいだろう。生産者も市場も小売店も、大も小も、効率とか生産性だけを求めるのではなく、リスクを考え、緊急の事態が起こった時の代替品等を考えながら、消費者の幸せのために仕事をしていく必要がある。多すぎたときには沢山使ってもらい、少ないときには、少ないながらも工夫してアクセントとして使ってもらう。そういう仕事が生鮮食料品花きの仕事である。

 それにしても、今期の下半期は、10月の悪天候、台風、そして、景気が良くなってきたことから、低迷した上半期とはまるっきり違った様相を呈してきた。手不足だが、もっと連絡を取り合い、消費者に不安や不満を感じさせないよう頑張ろう。

 


投稿者 磯村信夫 : 11:48