社長コラム 大田花き代表取締役社長 磯村信夫のコラム

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2020年11月02日

下ばっかり向いていてはしょうがない。目標は10年後に向けてだ。


 大田市場花き部の屋上からも飛行機の離発着の様子が見える。国際線は、まだまだほとんど無いが、国内線においては時間帯によっては、今までの80%ぐらいだろうか、着陸を待って待機しているような飛行機の姿が見える。社内でも、地方に出張に出る人達が増えているが、私は社長なので、学校の校長先生と同じ様に、いらっしゃるお客様をお出向えする仕事がある。しかし、地方からのお客様はほとんどない、東京は新型コロナウイルス感染者が多数出ているからだろうか。未だに、航空会社も鉄道機関もやりくりが大変だろう。  

 10月を終えてみて、花束加工業者、量販店は好調を維持している。地方の卸売市場も、輸送手段がなくなった産地もあるのか、小品目など大田花きを利用する市場があり、前年を上回っている。そこに行くと大田の仲卸は、結婚式など業務需要とイベント需要そして、一流ホテル・レストランのいけ込み、テレビ番組の後方の花のいけ込みなどが多い。ここの需要がまだまだなのだ。仲卸でも店頭売、店売りがほとんどの小売店は、前年比90%まで回復したところもあるが、業務上、高級な花を取り扱う仲卸などは、前年の60-70%台、ホームユースなどの需要を取ってきても80%が頑張っても10月の成果であった。

 大田花きが産地に行っているのは、農業者の高齢化、花き種苗の受注状況、人によっての青果への転作などで、来年の9月まで生産が減るリスクを見越してのことだ。だから、今もうすでに、規格外品も産地に出荷をお願いしている。当社にもお願いしたいが、普段出荷している市場にも出荷してもらいたい。特に、小売需要でしかも、専門店がほとんどの卸売市場では、お花屋さんの技術があるから規格外品でも上手に価値ある商品にしてくれる、とお願いに行っているのである。もちろんオリンピック、パラリンピックもあるので、来年の作付けを増やしてもらいたい。将来2030年には、市場ベースで現在よりも1,000億円多い、4,500億円の国産花き取引額と量を卸売市場でも生み出したいと目標を持っているからだ。小生が日本花き卸売市場協会の会長を退いた後決定された。やりがいのある目標だと思う。足元を見ると、コロナ禍で4,500億円はおかしいように思えるのかもしれない。イメージは20世紀末に国産の切花・鉢物と輸入の切花、そして種苗の取扱いを入れて、花き業界がほとんど6,000億円に到達したことを目標に、前進したいのである。業界全体の目標はここだ。不足が続く今、規格外品まで全部生活者に届けること。葉物や枝ものを使って、品揃えを豊富にすること、ボリュームをつけることである。足元をしっかり見つめた措置と目線を上にしたときの目標と、かけ離れていると感じてはならない。やらなきゃ出来ないので、種苗会社、生産者、海外の生産物を取り次ぐ輸入商社、小売業界、中間流通業界はともに2035年6,500億円の国内花き生産額を目標に、それぞれ頑張っていきたい。  

 

投稿者 磯村信夫 11:48