社長コラム 大田花き代表取締役社長 磯村信夫のコラム

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2021年03月08日

三分の一はリモートで


 ここのところ、産地との打ち合わせも、リモート会議が少しずつ増えてきた。先週出演したNHKひるまえほっとのいま旬市場・おすすめの花もリモートで行ったし、いつの間にか、花き団体である(一社)花の国日本協議会会議も、(一社)日本花き卸売市場協会会議もリモートだ。卸売市場はエッセンシャルワークで休まず開市しているが、社内でもリモートワークを行える部署で実施している。このリモートの流れはコロナ後も定着し、コロナ前の出張や移動を伴う仕事の三分の一が、リモートに代わると言われている。今後もリモートを意識した仕事の組み立てが必要だ。また、電子決済や電子承認等、社内システムの整備も必要だ。アメリカやEU、「オフショア」といって、時差を上手に使い分け、他国にいる人も社員となってもらい、チームを組んでいたりする会社は、業務の電子化を既に行っている。先進国の中では日本だけが今更感がある、急務の課題だ。  

 花き卸売市場でも、産地や買参人との取引の仕方が大幅に変わってくる。大阪鶴見の(株)なにわ花いちば殿、(株)JF鶴見花き殿は、全ての買参人との間でリモートゼリを行っている。これも1つの良い進歩的な形だ。大田花きは、リアルのセリと在宅ゼリとを併用して行っている。大田市場では、20もある仲卸の店頭に、買参人、買出人に来てもらいたい。リモートだけでは、自分の知っているものは購入出来るが、知らないものには、手が伸びづらいからだ。仲卸店頭には、まだ見たことのないような花や新品種が出回ることが多い。また、卸の展示スペースにも、新品種や新産地を紹介している。これらも大事な情報源だ。しかし、新品種も事前に分かりやすく紹介し、リモートでも安心して買えるようにしていけば、全てリモートゼリが出来るようになるだろう。

 上述しているようにリモートが進んでいるが、リモートはグローバルなものだから、まずは基礎英語か続基礎英語のレベルで良いので、英語を学んでおく必要がある。また、特に経営層については、広い見識が必要だ。日本は飲食店を見ると、てんぷら屋や寿司屋、蕎麦屋、ラーメン屋等々、専門店で十分に経営が成り立つ。しかし、今の世の中、特に小売業界では、専門の狭い範囲内だけでは、他の業態も参入して立ち行かなくなることもあるだろう。従って、経営層は学力の上に情報収集力、そして、未来に向けて仮説を作り実行する力が必要だ。今からでも遅くない。オフの時間にしっかり勉強することだ。残念だが、日本は学力が劣ると言われている。経営者を目指す子供たちには、世界レベルの学力をつけてもらいたい。経営のプロ同士が業界を乗り越えて商いをしていくことは、クラウドを見ても分かる通りだ。我々農産物業界も、遅れずに進んでいかなければならない。

 コロナ禍、世界で花ブームが起きているのは、今後のコロナ禍後の世界でも福とするところである。まだまだ国によって豊かさにバラツキのあるものの、赤道直下の国や南半球の国々でも、花や緑は需要が活発になってきている。スマートフォンがどの国でも普及しているように、花も新しい時代に入ってきている。



投稿者 磯村信夫 13:06