社長コラム 大田花き代表取締役社長 磯村信夫のコラム

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2020年10月26日

ミレニアル世代


 社内の一部署で、シンガポールの会社と度々リモート会議を行っている。先方の画面に映るのは、1980年代生まれの、30後半から40歳位の人たちのようだ。  

 この間、花とは全く違う外資系の会社の人たちと話をしたら、私自身がミレニアル世代のことを殆ど意識してこなかった事に気が付いた。つい「団塊世代」、「団塊ジュニアとその子どもたち」と、このような括り方をしながら、世相の移り変わりや新しい価値観等を理解し、花の事業運営をしようとしていたのだ。

 ミレニアル世代は1980年代以降に生まれ、2000年代に成人した20歳代から30歳代の人たちを指すことが多い。10年前にアメリカで三分の一がこの世代になって、「その前の世代の価値観とは違うぞ」という論調は新聞や本で読んだことがあった。それが今や、アメリカの人口構成で4割以上、ヨーロッパでも約4割、日本で3割となっている。ミレニアル世代が各事業体で力をつけ、バリバリ働いているし、ICTにも生まれた時から親しんでおり、日本社会でも彼らの影響が大きくなっている。これまでの世代との違いは、まさに今、我々事業会社が心掛けなければならない「環境を良くしていくための運動」への意識の差だ。良い環境のための事業、社会的な公正を期する経営、透明性の向上、腐敗防止等のガバナンスをきかせた会社運営への意識の高さである。これが、前の世代とは全く異なっていると言われている。確かに、アメリカ人やヨーロッパ人と話をしていると、総じてそんな価値観を持っているなと気付かされることがある。社会的に良い会社で働くことは、彼らにとって必要条件だ。たとえ給料が安くてもその仕事をやり遂げたいという人たちが、アメリカ人やヨーロッパでは多くなってきている。豊かな生活環境で育ったがゆえに、このような価値観を持った若い人たちが出てきたのか。あるいは、前に比べて、天候異変等の問題が多く、経済格差が大きい世の中になってきたからなのか。恐らく両方だろうとは思うが、日本でもグローバリゼーションとともにこの世代の人たちの意見に耳を傾けて事業運営をしていかないと、会社や業界そのものが無くなってしまう可能性すら出てきた。一方、それに反するような、国単位のエゴ丸出しの動きもある。しかし、その内部ではミレニアル世代の人たちが動き出しているのだ。事業体はESG経営である。  

 ステイホームで花のある生活をし始めたミレニアル世代。これからどのように、人を幸せにするために生まれてきた花や緑を身近に置いてもらい続けるか。作戦を練っていきたいと思うし、同時に、社内での人材の育成を心掛けたいと思う。

投稿者 磯村信夫 12:17