社長コラム 大田花き代表取締役社長 磯村信夫のコラム

[]

2018年08月27日

ペットボトルくらい、場所をとらない花や植物を


 第35週の今週から、花き業界は衣料品や生活雑貨業界と同様、苦しい秋物商戦スタートとなっている。

 私事だが、磯村家は膵臓癌で亡くなることが多い。だから、千葉大を出てそのまま千葉で開業している甥が経営する「いそむら内科」で年二回、定期的に検診を受けている。三年前、そこでの胃カメラ検査の時に初期の食道癌を見つけてもらった。しかし、膵臓癌は分かりづらい。癌に気付いた時には遅く、突然と言っていい間でお亡くなりになる方が今でも多い。そうならないように、特に膵臓に気をつけて検査をしてもらっている。

 この夏、いそむら内科は移転した。今までの場所と殆ど変らない場所だが、ビルの4階からログハウス調の素敵な一軒家の内科病院へと生まれ変わった。人気の医者だから、移転祝いの際に頂いた花は何十にも及ぶ。九割は胡蝶蘭、一割は観葉の尺鉢で、私が想定していたよりも大鉢が多かった。一方私は、デスクの上に置けるようなサイズの観葉植物を各種持って行った。これは群馬・薮塚の加藤さんが取り組んでいる「炭づつみ(チャコボール)」を使った、虫が出ず、環境に配慮された商品だ。看護師さんは「これなら受付のところにちょっと置いたり、パソコンの横や玄関に置いたりして、場所をあまりとらずに周りを気持ちよく出来ます」と言って喜んでくれた。

 私は院長の伸治先生と身内だから、このようなカジュアルなギフトを持って行ったが、他のお祝いをしてくださった方々はフォーマルなお付き合いだ。従って、胡蝶蘭や大鉢の鉢物が一般的なお祝いの品になるのだろう。関係性によってお祝いの意味も異なってくる。それぞれの意味に合った多彩なギフトがあってしかるべきである。

 さて、25日の土曜日は『大田バラ会』が開催された。私は、生産者の皆様に「小菊のような役割のバラを作って出荷して欲しい。必ず売りますから」と言って回った。サラダと同様に他のものと組み合わせる使い方もあれば、バラはバラだけでも十分見る人を幸せいっぱいに出来る。このような、菊の中で言えば小菊のような、様々な用途で使用できるポジションのバラを沢山出荷して欲しい。強調したいのは、短いものや小さいもの等、楽しい生活雑貨としての花を生産し、もっと真剣になって消費者に買ってもらう運動をすることだ。これがホームユースや手土産需要を満たすことに繋がると考える。ブーケや鉢にしても、上代が1,000円や2,000円未満のものに真剣に向き合い流通させる。人手が足りておらず、また、働き方改革が進む中で大変ではあるが、これを行うようにすることが今の花き業界にとって大切ではないかと思う次第である。


投稿者 磯村信夫 16:24