社長コラム 大田花き代表取締役社長 磯村信夫のコラム

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2021年01月04日

ソリューションビジネスを「ユーザーイン」の考え方で


 あけましておめでとうございます。  

 本日の切花初市の立ち合いは、新型コロナウィルスの第3波で、昨年とは打って変わって静かなスタートとなった。予想した通りと言えばそうなのだが、年始の挨拶回りが減ったため、手土産の中でも近頃重宝されるようになった春の花束や鉢物等が動かなかった。仕事始めの社長の訓示や新年会等の行事も、簡素化の名目で花を飾らないところが多く、バラ、カーネーション、ラナンキュラス、アルストロメリア等の見栄えのする、明るさを感じさせてくれる花々が、安値取引となった。

 生活者の消費行動は、各業種の小売店の行動にも反映される。働き方改革でもあるが、チェーン展開されている専門店では、中には1日から店を開けているところもあったが2日からが多く、それ以外の個店では三が日をお休みしている店が多かった。食品スーパーも2日から初売りを開始したところ、中には4日から営業するところもあり、小売店の正月休みが進んだ。今更ながら、個人需要・家庭需要にウエイトを置き、ネット販売やサブスク、リアル店舗の小売店と一緒になって、一般の生活者に花を買ってもらうサポートをしなければならないと強く感じた。

 そのための切り口は、「マーケットイン」ではなく「ユーザーイン」だ。花を使い、楽しむ人の視点が必要だ。例えば、店頭での並べ方や、ネット上の写真は、どのようなものであったら生活に取り入れたくなるのか。また、生活者が花を買う時、そして、花を飾る時、育てる時等、様々なシーンで「もっとこうして欲しい」、「こうあったら良い」というような不満や希望はどんなところにあるのか等、改善事項を見直す。「ユーザーイン」でのサービス、花の販売が、巡り巡って花き業界の進展と、生産者の利益に繋がる筈だ。

 初市では、コロナ禍ですっ飛んでしまった需要に泣いた花々が多くあった。しかし、行き所を失っているのだろうか。いや、違う。もっと大きいマーケットの、家庭需要がある。ここに向けて今、生活者に買ってもらえるよう、小売店と一緒になって売れる仕組みづくりを行っていくのが、生産者に代っての販売代理業の市場(卸・仲卸)の仕事ではないか。こう痛感した。

 
投稿者 磯村信夫 11:28