社長コラム 大田花き代表取締役社長 磯村信夫のコラム

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2020年07月27日

コロナ禍で見通しが立たないがやるべきことをやる


 昨日から今日にかけて、東名高速道路、新東名高速道路ともに、大雨のため一部通行止めとなり、出荷物の市場到着も遅れた。温暖化による集中豪雨は、日本列島に甚大な被害をもたらしている。日本だけでなく、今年は中国でも被害が大きい。
 
 こうした温暖化の被害を日本は一番被っているのに、何故、環境問題に無頓着と言って良いほど具体的な政策が進んでいないのか。EUで環境問題、特にCO2削減と温暖化解決運動を先頭に立って進めているドイツやオランダから、このような批判めいた声が上がっている。私も、その国の花き業界関係者から直接聞かされたことがある。特に、農業関係はこれだけ被害があるのだから、もう無関係ではいられない。産地から始まり、運送会社、市場、小売店まで業界全てが、CO2削減や、化石燃料を使ったプラスティック問題等々取り組んでいく必要がある。この4連休、そうつくづく感じた。
 
 さて、この4連休中に、再度、上半期と下半期の目標の立て直しを行った。新型コロナ感染者が増え、見通しが立たないというのが現況だが、それでも仮説を立てなければならない。仮説を立てるにあたり、一つ、興味深い学説を知ったので紹介したい。それが「ウイルス干渉」である。涼しくなる10月以降、通常であればインフルエンザが流行る。それに新型コロナが加わってどうなってしまうのかと心配していた。しかし、「ウイルス干渉」により、インフルエンザにかかると、もう一方の新型コロナウイルスの増殖が抑えられるというのだ。どちらか一方なので、ダブルで蔓延することはないというのがこの学説である。これを考慮した予測に基づき、売上・利益目標を検討した。  

 第一四半期に失った金額はもう取り戻せない。第二四半期以降は売上目標金額を前年並を目指すので、第一四半期分を埋め、トータルで前年にどう近づけるか、見通しが立たない中でも収支を合わせようとしている。しかし、8月の見通し一つとってみても本当に難しい。夏休みに帰省や旅行をする人が、例年は5割を超えているが、今年は半分以下にとどまっているそうだ。直近の状況では、「東京からは来ないでくれ」、「大阪からは来ないでくれ」、名古屋も増えてきたので、「名古屋からも来ないでくれ」等、地方でも混乱の様相を呈している。このままでは盆の花の需要はどうなってしまうのだろうか。学校の夏休みも短縮されたり、分散させたりしているから、例えばお墓参りも「お盆の期間で一斉に」という訳にはいかないだろう。8月から敬老の日位までの間、時期を分散させて行くとみるべきだろう。また、最近では、東京で7月盆をやったところでも、「終戦記念日」とお盆ムードが重なり、お墓参りに行くと言う人もいる。「とにかく仮説が立ちにくいので、8、9月は昨年の数値を目標にしよう」。こんなところが、今の花き業界の実態だ。  

 とにかく見通しが立たないが、秋以降、作付けが確かに少ないことは分かっている。これを考慮して、何を今の時期やっておかなければならないだろうか。産地から市場、市場から地方へのロジスティック問題、ICT活用やリモートワークの問題を産地ともども解決すること、一貫したコードで産地市場~小売まで情報を一元管理すること等が挙げられる。また、家庭需要が一番期待できるのであるから、コストダウンは必須だ。卸売市場なら、改正卸売市場法の下、より合理的な、すなわち、重複を繰り返さない流通や、生産性向上につながる仕組みづくり、これに傾注することだ。「損益分岐点を下げる」という、この努力目標については、社内で出来ることをまず徹底して行う。しかし、これだけでは他産業に比べて劣るので、生産・運送会社・卸売市場・小売のサプライチェーンの取組相手と一緒に、コストダウンの研究を行うことが必要だ。

   

投稿者 磯村信夫 15:45