社長コラム 大田花き代表取締役社長 磯村信夫のコラム

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2020年12月21日

グリーン消費、本格的に始まる


 イギリス・ロンドンで、新型コロナウイルスの変異種が猛威を振るっている。今までより感染率が最大70%も高い可能性があるとの発表だ。イギリスは事実上のロックダウンとなる。  

 今年は新型コロナウイルスや鳥インフルエンザ他、感染症に対する脅威の年であったと言える。「100年に一度」であって欲しい。東京オリンピック・パラリンピック競技大会も、1年遅れで開催すると決めた。その意志を貫き通して開催し、ビクトリーブーケやプレスセンターにおける装飾等で、日本の花きを世界に見てもらいたいと思う。

 さて、今期最大の花に関する成果は、やはり「グリーンの必要性」が広く認知されたことだろう。ステイホームで切り花や苗物、鉢物等が、年代層を問わず楽しんでもらえるようになった。一方、業界の課題としては、値頃感のある値段で花や緑を生活者に楽しんでもらえるよう、生産、流通の構造改革を急がなければならない。

 今年日本でも大きく動いた意識変化では、まさに「SDGs」が認識され、実行をしなければならないと誰もが考えるようになったことだ。消費でも、「エシカル」消費が地球で生きていくには欠かせないものになった。花き業界でも、CO2削減からはじまり、ロスフラワーの削減も叫ばれるようになった。この世に生まれてきた花を生産段階で捨てない、小売の段階で捨てない取組みだ。ゴミを少なくしたり、売れ残りそうだったら、公共施設等の皆に見てもらえる場所に飾る等の取組みだ。花は人を幸せにするために生まれてきたから、その目的を関係者の手で遂げさせる。この動きに確実になっている。  

 日本の花き業界は、冠婚葬祭やイベント等の縮小により大変な年であった。これはまだこの先も続くと見ている。今後は国の収支、自治体の収支、会社の収支、家庭の収支等、経済問題が前面に出てくる。デフレはもうごめんだ。日銀だけでなく我々経済人も心してデフレに陥らないようにしなければならない。そして、「社会におけるグリーンな考え、グリーン生産、グリーン消費」は、新型コロナウイルスが収束した後も、根強く続いていくことだ。ここに向けて、花き業界の組織や働く人々は、業界内外問わず広く考える。来年はこれに本腰を据えて取り組んでいきたい。


投稿者 磯村信夫 11:26