社長コラム 大田花き代表取締役社長 磯村信夫のコラム

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2022年06月13日

ウィズコロナの新しい日常に起こっているトレンド


 6月15日は年金支給日で、自治体によっても異なるが、その県の給与的な所得のうち年金の占める割合が東京でさえ約1割で、他のところでは2割を超えるところもあり、15日の支給日は消費活動が活発になる時だ。花の相場もそうで、今週末は父の日であることもあって、荷動きが期待される。期待しているのだが、菊類の相場が15日月中の仏花需要があるというのに下がってきた。梅雨に入って全体の花の持ちが悪くなったからというのもあろう。しかし、そんなときほど花持ちが良いから菊類は堅調であるはずだが、白一輪菊から下がってきた。白一輪菊だけでなく、胡蝶蘭のミディも白が下がっている。まだ注意深くこれからを見ないといけないが、白の花が堅調になったのは昨年の7月からで、それがずっと10ヶ月続いた。その終焉ということなのか。

 ミレニアル、Z世代が黄色やオレンジをとても好むので、それらと青を取り合わせた花が白以外にもずっと人気が続いていたが、白色の花が下がってきたのと、ウクライナカラーのオレンジ、黄色、反対色の青の花が堅調になっているのが目につく。大きな意味で需要の変化が、世相が、その色に現れているのだろう。

 そういえば、ここ数年、白のパンツやシャツを街でもよく見るようになった。フォーマルな色とは赤、黒、白で、赤は多彩に使われていたが、かつて黒はフォーマルなところでしか使われていなかった。しかし、ここ30年かけてカジュアルなものにも使われるようになった。ジーンズタイプと言えばブルーと黒の二つ。黒がここまで、誰がどのシチュエーションで使っても良いものになってきた。そして、次に白のカジュアル化が浸透し、冬でも白のパンツをアウターにしている人を見かけるし、インテリアでも白を基調にしたものは多いし、今なら時節柄はあるが、色々な白をアウターシャツ化して、TPOに合わせて何種類も持っている人がいる。それがここまで来たので次ということであろうか。
 花の場合には白が比率として少し多いということが言えるのであろう。しかし、まだ確証と行くまで今後を見ていく必要がある。

 あとは、ウィズコロナ・アフターコロナが、海外旅行客の受け入れやスタジアムの動員数増加、スタジアムなら声を出して応援してよい等日常に戻りつつある中で、今までと違ったトレンドになりつつあるのでそこをお知らせしたい。

 まずは、自由主義 VS 全体主義。民主主義 VS 専制主義。グローバリズムから分断へはっきりした。あらゆる国際秩序の枠組みを作り直していかなければならない。まず、目の前に起きている事としてグローバルサプライチェーンが当てにならなくなり、肥料が手に入らない等、生産者は本当に困っている。可能な限り、あらゆるものの国産化が必要になっていった。花市場で今週足りないのは、カーネーションだ。切花三大品目のうち、カーネーションが最も輸入の比率が高い。今まで、グローバルサプライチェーンで良いと思っていたのは、親米国家コロンビアからコンスタントな輸入があったからだ。これもコロンビアの政治体制によってなかなか微妙だし、今の飛行機便需要によってこれも微妙なところだ。中国産は入っているが、この中国産をどこまで頼りにして良いのか。これは、ここのところの日露漁業交渉を見ていてもわかる。自国でメインのものは頼れるようにするということはあらゆるもので欠かせない。一次産業、農林水産業において、まさに分断の中で、我々が助力をして育成していかなければならないものだろう。

 そして、値上がりの転嫁の問題は、先週帝国データバンクが値上がりをどの程度転嫁できているか産業別に調べたデータが発表された。全産業平均ベースで5割弱しか転嫁できていない。我々花き業界と直接関係のある運輸業、農林水産業は2割未満である。転嫁できない部分の対策として、荷づくりの簡素化やひと箱入れ本数の大きさ等、中身が傷まないようにしながらも、資材や手間を省ける形にしていく必要がある。これは大至急していく必要がある。分断化は始まったばかりで、値上げはこれからが本格的だ。そこに早急に対策を練る必要がある。市場は産地と小売商と相談し合いながら、消費者に渡すまでの荷作り・選別、資材使用等の流通コストをできるものから簡素化、経費を削減していく必要がある。そして、少なくとも2025年まで本年いれて3年間のうちに、農水省・経産省・国交省が提案する11型パレット(1100mm×1100mmサイズパレット)だけを使って運送することを徹底的にやっていく。11型パレットに積みやすい規格化された箱、トラック・船・コンテナの内寸に合わせた11型パレットの規格を徹底的にやっていく。そしてロボットで荷積み荷下ろし、あるいは箱詰めピッキングができるようにする。そこが物価高で価格転嫁できない産業の一番のポイントになるはずだ。そこを3年かけてとにかくやっていく。また、コード番号は全て統一化し、色々な規格も一つのパレットで載せられるようにする。規格統一をどこ主体でやるか。民間主体でやっていただきたい。アメリカでは国の事業が当たり前だと思っていた宇宙開発も民間企業が行おうとしている。日本でも、クラウドコンピューターがアマゾンとマイクロソフトを利用していることが圧倒的だ。プライベートの会社がやっているということだ。日本でのクラウドは日本の会社でやってもらいたい。これも変える必要がある。公共インフラが私企業化するのは当たり前で、PPP※1になっていく。このようなトレンド傾向が今後である。
 以上、申し上げたことを頭に入れて事業運営を行っていただきたいと思う。

 


※1 パブリック・プライベート・パートナーシップ
行政と民間が連携して、それぞれお互いの強みを活かすことによって、最適な公共サービスの提供を実現し、地域の価値や住民満足度の最大化を図るもの。


投稿者 磯村信夫 17:18