社長コラム 大田花き代表取締役社長 磯村信夫のコラム

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2020年02月10日

やれば売れる。やらなきゃ売れない


 (一社)花の国日本協議会がフラワーバレンタインの事業を始めて、今年で10年目になる。10年といえば、ちょうど「国産榊生産者の会」と同じ活動期間だ。「国産榊生産者の会」は、『日本産の榊を手向けることがやはり必要だ』と感じている生産者自らが設立した組織であり、年々参加者を増やしている。卸売市場としては、価格は圧倒的多数の中国産が基準になるので高くは出来ないが、生産者の方々が十分やっていけるだけの価格帯にし、広がる需要に合わせて供給していきたい。山採りでの現物の減少や、人手不足の問題等があり、なかなか供給が厳しかった国産榊だが、新規生産者を開拓し、生産を拡大していく。この「国産榊生産者の会」の意気込みは、どんどん広がりを見せている。

 さて、話をフラワーバレンタインに戻したい。特に欧米に住んだことのある人なら、バレンタインと言えば、花をイメージするだろう。しかし、日本は「チョコレート」となってしまう。そんな日本において、イギリスやアメリカと同様、バレンタインに男性から女性へ花を贈る文化を作り、需要を増やそうというものだ。
 
 以前から外資系の会社社員は、日本にいてもバレンタインデーに花を贈っていた。米軍基地があるエリアでも、生花店はバレンタインデー用に赤バラをそろえていた。フラワーバレンタインは、青山フラワーマーケットを展開する㈱パーク・コーポレーションの井上社長と㈱日比谷花壇の宮島社長が、「世界で一番花が贈られるバレンタインを、みんなで同じ運動をすることによって日本で盛り立てよう」と企画するところから始まった。この結果、現在東京では、バレンタインデーに男性が店頭に並び列を作るようになった。不勉強のため千葉・埼玉・神奈川あたりの生花店が、バレンタインデーの時にどのくらい男性が押し寄せているか分からないが、東京ではこれが普通の光景になってきている。地方でも、卸売市場が中心となってフラワーバレンタイン活動を始めている。また、日本で最大の生花店ネットワークを持つ花キューピッドも、フラワーバレンタインを展開してくれている。先週の土日、日本全国各所でプロモーション活動が行われた。今年は天候が心配だが、去年以上の売上げを期待したい。
 
 最後に、「自分のお店にフラワーバレンタインは関係ない」と考えている花の小売店があったら、それは間違いだ。今、2月は花き業界の閑散期であった昔の「2月・8月」ではない。やらなければ売れない。例えば、節分は柊や豆柄が売れるのに、販売している生花店は少ないのが残念だ。一方、スーパーでは販売しているから売れている。また、毎年お雛様を出す家は、そろそろ桃の花が欲しくなる季節だ。このような昔からある需要を掘り起こし、そして、フラワーバレンタインのような新たな需要を作っていくのだ。フラワーバレンタインだけではない。受験シーズンに向けて「落ちない花」や、合格した人への「ビクトリーブーケ」等、明示して販売していく必要がある。昔の2月と違い、今は需要期の2月だ。「バレンタインデーで男性が女性に花を贈ることがカッコいい」ものとしてバレンタインの花を販売し、花贈りの文化を一般に広めていこう。このような活動をしてこそ、花を買ってもらえるのである。まずはチャレンジするその精神の生花店に、繁盛があるのだ
 

投稿者 磯村信夫 13:54