社長コラム 大田花き代表取締役社長 磯村信夫のコラム

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2021年10月04日

やはり人材教育


 コロナ禍で約2年間、社内研修が疎かになっていたと感じる。DX化だろうが、メンバーシップ型雇用からジョブ型雇用を多くする人事制度であろうが、基本的には、“人”である。会社は社員に知育、体育、徳育、群育を行い、また、社員は自らそれを欲するようにして勉強していかなければならない。

 ドイツのグリーンピースや、京セラのアメーバ経営、GoogleやAmazonの「2枚のピザ理論」等、少人数チーム制を敷き、その積み重ねの組織構造で目標を達成しようとする企業は多くある。また、「Ohana文化」なるものも最近注目され出している。「Ohana」はハワイ語で「家族」を意味する。企業でも、社員同士が家族のようにお互いを助けあう。そんな精神を「Ohana」文化は意味している。このような少人数制の組織構成や助け合いの風土に加えて、個々人のレベルを上げる教育が必要だ。私は成城学園で学んだが、大変自由な校風だったので、授業時間は自学自習が基本だった。疑問に思うことがある時、自分で「何故か」を考えてから先生に質問に行く。すぐ先生のところに行っても、先生は答えてくれない。あるいは、質問をお互いにしながらのコミュニケーションで考えさせられ、自分なりに解を出していく。このような勉強の仕方であった。自分で興味を持って勉強できない者は上の学年に上がれず、義務教育なので落第ではなく、他校へ出ていく人がクラスメイトの中に毎年出るような環境だった。主体性の大切さをそこで知ることになった。

 大田花きでは、コロナ禍で最初の三か月間で行われる新入社員研修の内容が薄かったため、この第二四半期、リモートでの新人研修を続けて取り組んでいる。また、役職者以上の者へは、取締役研修を行っている。大田花きの取締役は、代表執行役の社長を除き、全て他の会社で重責を担ってる・いた方なので、その方に教師になっていただいているのだ。そして、現時点ではリモートが多いが、社外の様々な研修会にも積極的に参加している。しかし、これでは足りないので、先述した5人前後の少人数でブレインストーミングを行おうと考えている。職位や年代を限定せず、一人社内の有識者を入れて、一緒に考えながら正しい考え方を身に着ける研修となる。 

 仕事を「自分の人格を鍛える為」、「成長させる為」のものと出来るか否か。ここはとても大切なポイントである。「生活するために働いてお金をもらっている」。そんな風にしか考えられないとすれば、その人の一生は貧しいものになる。仕事はすべからく人の為にあり、仕事を通じて人に尽くしても、利は一部しか自分には返ってこない(実際にはそんなに直接的ではなく、自分は他の人のものや社会や自然のおかげで生かされていることを感じて感謝している)。しかし、自身の人格を磨くことについては、心底人に役立つ仕事を一心不乱にやっていれば、必ずその人が素晴らしい人になっていく。自分の徳に繋がるのだ。自身を成長させ取引先に悦んでもらい、世の中を進化させる仕事全ては、自分を成長させる為である。このことを自覚しなければならない。 

 どこの会社もそうだが、大変な時ほど社員の質を上げ、会社が生み出す製品やサービスの質を上げ、会社の質を上げる為に内部努力をしなければならない。進化の大元になるのは社員だ。国も会社も一緒である。 


投稿者 磯村信夫 12:28