社長コラム 大田花き代表取締役社長 磯村信夫のコラム

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2022年07月04日

この夏の課題


 一年の前半戦が終わり後半戦に入った。年の前半は荷が少なく、例年の2割高で推移、後半は6月中旬より荷が纏ってきて、そこに、早い梅雨明けで猛暑、例年の2割安の平均単価となっている。これは切花、鉢物、苗物の出廻り量と単価の推移だ。

 withコロナからafterコロナの様相を呈してきた残り半分の6か月、コロナ前に消費が戻ったところや戻らない店や会社も出てきた。例えば、着るものでは、ジーンズが復活してきたが、新しいジーンズは、股上が深くスタンダードよりも太め。このように内容が変化している。花も同様で、色々な需要が復活してきたが、菊で言えば、1輪菊の白だけが特に安く、それに引き摺られ、黄色と赤も過去5年の真ん中の価格帯。それ以外の、スプレー菊も小菊も、そして一輪のディスバッド菊は高値ではないが、過去5年でも、真ん中以上の価格帯で推移している。売れ筋ジーンズが変化しているとおり、時代に合わせた商品提案力を持った小売店が、そこの卸売市場にどの位の数がいるかによって、時代と共に歩んで行く、或いは、時代をつくって行く流通業者であるかどうかが分かってくる。

 地方の市場では、かつては、葬儀の花や仏花の需要を中心に荷を集め、相場を形成してきた。新型コロナが流行ってから、家族葬や一日葬が増え、葬儀を出す人、いわゆる喪主の世代が、団塊の世代以降の人たちになってきたので、菊といえば、一輪菊からスプレー菊が中心になっている。 しかも、サブスクで分かるとおり、20代の若い人たちの需要も出てきたので、小菊が仏花ではなく、スプレー菊の輪の小さいものとして捉えられており、スプレー菊と小菊でひとつの範疇と見たほうが良い。この様な品目の括りになってきた。店の立地も、商品提案力も、時代と共に変わっていっている。小売り会社は確実に、売上げでは2019年を上回っている。しかし、従来通りの商品提案力しかもたない小売業が主として仕入れている仲卸、卸は、ここにきて業績が悪化し、数の調整局面に巻き込まれている。コロナ禍で金融から無利子融資を受け、その返済を急がされたりした時には、かなりの数の会社が倒産するであろうから、子会社同士の合併、のれん代の低い身売りなど、花き業界のメンバーが替わらざるを得なくなっている。

 未来を作るための合併、整理統合のための合併、或いは、残念ながら廃業や倒産、この動きが目立ってきたので、花の経営者も、自分の会社の財務体質健全化、そして、インフレの中、社員の給料をあげきれる経営力があるかどうか等を、もう一度見直して、年の後半で、自社の生き残りをはかってもらう必要がある。 暑い夏の、花き業界の一つの課題である。




投稿者 磯村信夫 14:41