社長コラム 大田花き代表取締役社長 磯村信夫のコラム

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2020年08月03日

お盆の需要動向は見えないが、都市部に人がいるので、例年よりも一カ月を通した需要は減らないのではないか。


 先週、元台湾総統の李登輝氏が亡くなった。私と台湾の関係と言えば、私の母が台湾からの引揚者だったこともあり、台湾製糖の関係者や京大農学部をはじめ内地の大学の農学部を卒業した方々、また、台湾の農業業界・花き業界関係の方々とも本当に親しくさせていただいている。そして、台湾の花き生産政策等にも深い関係を持たせていただきながら現在に至っている。今はコロナ禍ではあるが、台湾政府が援助しながら、民間業者がチャイナエアラインを使って日本に花を運んできてくれている。日本で使用される花の産地として欠かせないのが台湾だ。今の台湾と日本の関係があるのは、李登輝元総統の民主主義政策のおかげである。謹んでご冥福をお祈りします。
 
 ようやく梅雨が明けて、子どもたちも短い夏休みだ。しかし、遠出の外出を自重している人も多く、高速道路が混まなかったため、本日の産地からの荷も、予定より若干早い入荷であった。この土日、人々がどのような時間の使い方をしているのか、街に出て見てみた。観光地のお台場では、砂浜には一定数の人がいるようだったが、むしろ、地元にある「大井ふ頭中央海浜公園なぎさの森」の方がよっぽど密であるように見えた。大田市場の周りには他にも良い公園が沢山あるが、まだハゼの時期には早いだろうに、ハゼ釣りをする人でいっぱいのところもあった。子どもを連れた家族連れが近隣に遊びに行く。そんな土日であったのだろう。また、地元の商店街や駅ナカ、駅周辺にもそれなりに人がいて、トルコギキョウを購入している中年の女性や、ハイビスカスを購入している人がいた。
 
 8月に入ってから、まだ本日で3日だ。この8月は、前回のコラムでもお話したように、どう売れていくのか予測がつかない。お盆に帰省しない人も多く、どんな花の消費行動になるだろうか。しかし、分からない中でも、お盆に帰省しない人が多いことから、花の需要もばらけることが予想される。通常であれば、東京では15日に売り切ってから25日までにお盆休みに入る生花店が多い。これを本年は、東京に人がいるのだから需要を逃さぬよう、交代でお盆休みを取ってもらうよう生花店の皆様へお願いしている。また、東京では、「終戦記念日」として、団塊世代が仏壇に手を合わせたり、人によってはお墓参りに行く人もいる。300万人の亡くなった方の御霊に想いを馳せることは、東京にいても出来る。その時に菊の花が売れるかは分からないが、ステイホームで前年よりは家庭需要があると予測している。一方、生産側で言えば、恐らくリンドウの開花が早い以外は、国内出荷は例年通りのパターンになるのではないだろうか。しかし、輸入品は相変わらず飛行機の国際便が極端に少ないことから、船便を利用出来る中国、ベトナムのものが一定量入荷されているだけだ。これとても便は少ない。更に、野菜がこれだけ高いことでも分かる通り、花も本年は不作である。これらの需要・供給動向によって相場の出方が変わってくる。  

 我々の仕事の目的は、花で日本国民に幸せを感じてもらうことだ。暑い夏ではあるが、家で飾る花や緑、周辺のコンテナガーデン等を、例年の夏以上に楽しんでもらえるよう、小売店と一緒にフェアをやりながら進めてまいりたい。  

   

投稿者 磯村信夫 16:50