社長コラム 大田花き代表取締役社長 磯村信夫のコラム

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2020年11月30日

「花のある生活」は、ウィズコロナでも人々が落ち着ける要素の1つではないか。


 本日で11月も終わり、明日から12月だ。1年で最大の需要期であるというのに、切り花・鉢物ともに相場は厳しい展開が続いている。今秋は天候が悪く、晩秋・初冬の花が遅れていた。これまでの出荷量は前年の90%程だ。人が集まる冠婚葬祭、イベントが縮小されてはいたが、個人需要が強かったこともあり、市況は堅調であった。しかし、ここにきて、台風も無く、また、温暖な気候も続いた結果、遅れていたものが出荷され、後ろの分も前進開花で前に寄ってきた。さらに、コロナの第三波で、ようやく結婚式が始まってきたというのに相場がしぼんでしまった。  

 花の需要がしぼみがちであるのは、コロナの第三波の心理的な影響が大きいのではないか。私は、人は「心」と「脳」と「体」が関係して出来ていると思っている。その中でも「心」の影響はすごく強い。 コロナでも、「手に負える範囲内」だと思えば、ステイホームで、リモートのシゴトの仕方だとか、それによって時間を上手に作ること、あるいは、まさに「ENJOY HOME with FLOWERS」で、花のある生活を楽しむだとか、お散歩や運動、旅行等、良い方向にエネルギーを集中出来る。ついこの間までの沈静化したウィズコロナではそうであった。しかし、第三波が来て「手に負えない」と身の危険を感じ、かなりのストレスになって視野が狭くなる。三密に気を付ければ大丈夫と理性で言い聞かせても、「心」がそこに追いつかない。花屋さんの店頭では、シクラメンやポインセチア、また、クリスマスの装い等で、本当にカラフルで目を引いているのに、それらをセピア色にしか受け取れていない生活者もいるのではないかと思っている。このゆとりの無さが、花の相場に映っている。

 「花のある生活」こそ、ウィズコロナで人々が幸せに、また、落ち着いて生活が出来る1つの要素ではないかと思う。どう伝えていくかは中々難しいが、恐怖を和らげるものとして花を位置づけ、それを生活者に伝える必要がある。「手に負えない範囲」だが、ステイホームで家にいても、買い物へ外に出ることもあるだろう。ソーシャルディスタンスを取りながら運動する、お散歩をすることもあるだろう。その時に、生花店やスーパー等で花を目にすると思うので、生活者へ言葉やイラストで訴えていくことが必要だ。平常心を取り戻すこと。例えば『花を飾って日常生活を取り戻そう』というメッセージはいかがだろうか。あるいは、ポップやネットのメッセージで「ビタミンF」・花の働きを訴えて、家庭需要の大切さを知ってもらうのはどうだろうか。このように、ただ花が並んでいるだけではなく、「頭」で消費することを考える必要がある。伝え方は中々難しいが、各お店や、我々のような流通業者、生産者も、様々な手段を使って、直接、生活者へ何らかの手段で働きかける。ここを本格的にやることが、花の相場に反映されるのだ。

 
投稿者 磯村信夫 16:56