社長コラム 大田花き代表取締役社長 磯村信夫のコラム

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2018年08月13日

「お盆玉」は花の需要がしっかりしているメッセージ


 11日(土)の午後、電車に乗って大森駅に帰ってくると、浴衣姿の人たちと改札ですれ違った。浴衣を着て、お台場や神宮の花火大会に行ったのだろう。無料で見られる花火も多いが、有料の指定席で観る人たちもいる。より綺麗に見える場所が良いという人たちが多いのだろう。お台場の花火は、私の住んでいるマンションからも見えた。大森なので音は聞こえなかったが、BSフジで実況放送していたので、音はテレビから、実際の花火は北東の方向を見ながら楽しんでいた。毎年新しい花火が開発されるそうで、家内が「これが今年の新作で…」等と説明してくれた。

 お盆に入り、東京の人口は少なくなっている。家内も私も7月盆の東京・神奈川出身なので、「田舎に帰る」という風ではない。7月盆を行っている場所では、8月上中旬は、お盆休みと戦没者慰霊等の戦争に関する鎮魂、平和への祈りの期間である。一方、「田舎に帰る」人たちの話を盆休みの前に聞いていたところ、お年玉ならぬ“お盆玉”という言葉があることを知った。日曜日の日経MJ新聞にも載っていたが、子供や孫にお年玉と同じようにお小遣いをあげるということらしい。

 最初に“お盆玉”という言葉を聴いた時、「なるほど、盆と正月は日本でまだ生きている」と思った。何故なら、“お盆玉”をあげるということは、お盆休みにも○○家の親族が揃うということだからだ。休みもお盆に合せているから文化の伝承は続く。花の需要も今後ともしっかりしていそうだ。時代に合わせて少しずつ変化するかもしれないが、根底の部分は変わらない。田舎で一人になった母のところに、交通手段がどんなに混んでいても家族で向かう。ご近所の人はお盆の前に土手や周りの草刈をしてくれている。地域独特の食べ物や花の飾り方等、今まで伝統的に続いてきたやり方を踏襲しながら、盆行事に絡むお祭りや行事を行う。そして、言葉でいうところの“ふるさと”である「田舎」の活性化を、都市部に帰ってきてから人々は想う。

 ロジスティクス、電力、そして、大容量の通信手段。これらを駆使して、日本はドイツや北ヨーロッパと同じように一極集中ではない国を、もう一度作っていけるよう努力する。そういった経済政策とIOT化、インフラ整備をすべきである。自分の「田舎」は大田区だが、そのように思う。


投稿者 磯村信夫 12:44