社長コラム 大田花き代表取締役社長 磯村信夫のコラム

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2019年05月13日

花の小売店も経営力がモノを言う時代


 昨日の「母の日」の売れ具合だが、チェーン展開している青山フラワーマーケット殿(以下、敬称略)の店舗は賑わっていたそうだ。近隣のどの店よりも売れていたと言う。この競争力の違いは何だろうか。大元は“組織力”ではないだろうか。経営理念の下、1人の力ではなく組織の力で青山フラワーマーケットの店舗は運営されている。そして社員一個人は、“良い”人間になろうとする意欲を持つ。また、“良い”青山フラワーマーケットにしようとする。そのように社内研修やOJTを経て学習しているのだ。従って、花販売という文化的なサービスのレベルが一流になる。

 「良くなる」ことは、5Sが出来ることだけではない。会社の一員(社員でもパートでもそうだ)であることにプライドを持ち、ホテルにも負けないホスピタリティーのあるサービスを提供することだ。そのベースにあるのは、人を知る、花を知る、そして花文化を知る勉強だ。この勉強の上に5Sがある。青山フラワーマーケットで働く為にはそうあらねばならないと、構成員一人一人に教えている。それが店の前を通るだけでも分かる。従って、いざ花を買うとなった時、花のことが分からない若者も青山フラワーマーケットに行くのだ。
 
 カリスマのあるスーパーパーソンが1人いて店舗や会社が回るのではない。やる気があり、一流の花屋の店員になろうとする人を会社は集める。社内教育や「もっと良い仕事をしよう」と一人一人が努力し「良くなる」ことで、会社が「良くなる」。会社が良くなって初めてサービスが一流になる。会社が良くならないと店員一人が作るサービスが一流にならないのだ。この順番で会社は回っていく。これが、青山フラワーマーケットが相対的に他の花店よりも優れている点だろう。少なくとも「こうしよう」と決め努力する会社や社員にお客さんはつくのである。
 
 事業規模によって、組織のあり方や仕事の仕方は異なる。花店は夫婦2人でも経営できるが、『山椒は小粒でもぴりりと辛い』ことが必要だ。つまり、まず経営理念、次にきちんとした品揃えや花いけ技術を持った上で商品カテゴリーを絞り、一見して際立ったものでなければならない。例えばコンビニは、最寄品の中で3,000アイテム程に絞り込むことで、「近所にあるから便利」を実現している。花の個店も、どの消費分野に絞り込んでいくのか、品揃えまで含めて「自分はこういう花店だ」と、分かってもらえるようなメッセージ性が無いと、花の最寄品を扱うにせよ、花の買回り品を扱うにせよ、経営を続けていくことが難しい時代となった。昨日の母の日の店舗巡回の報告を聞いてそう思った次第である。


  投稿者 磯村信夫 16:47