社長コラム 大田花き代表取締役社長 磯村信夫のコラム

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2022年04月11日

心理状態の反映と感情の反映は別


 ロシアのウクライナ侵攻により、キーウ周辺でも死者が多数出ていると報じられている。大変なことだと思うものの、どこか「数字」の上で悲惨なこととして捉えてしまっており、一人一人の命が奪われた事実が心の中で覆い隠されてしまっているのではないかと感じる。数字上でも一人の何十倍、何百倍もの悲しみや怒りを覚えてしかるべきなのに、メディアの特集で「個人的な人にスポットライトを当てた死や困難」の方が、同情と、「何か自分に出来ることはないか」と思い行動に結びつきやすい。これが自分でも分かって恐ろしい気持ちになる。集団は同情心が湧きにくい。知識としては数字上あるのだが、心が揺さぶられるのは恐ろしさや悲惨さであって、一人一人の人生を台無しになったという事実に目が行きにくく、共感と同情が湧き起こらないのは私だけであろうか。

 私たちには「ミラーニューロン」があって、自身の心理状態が周りの人に影響を与える。例えばつまらなさやいい加減さ、やる気の無さだとか、イライラだとか、やる気満々だとか、そういった心理状況は、周りの多数の人たちに影響を及ぼす。しかしこれは、心理に影響を及ぼしているだけで、感情とは別物だ。他人の感情が反映されることを「共感」というが、共感の場合、一人一人に対する時の方がより強い。あるいは、小集団、基本的には4~6人くらいが、共感の範囲内ではないかと思われる。私は早朝、ロジスティック本部の夜間勤務と昼勤務の人たちとのちょうど交代時間に出勤し、それぞれに挨拶をしている。先ほど申し上げたミラーニューロンにより、社員各自の心理状態が周りに影響を及ぼす恐ろしさから、一人一人に注意をすることはあるが、挨拶程度では、共感や同情のような、感情のところまでは立ち入ることが出来ない。そのため、一人一人と挨拶を交わした後、ちょっと二、三言立ち話をしたりして話を聞き、共感し、こちらの感情にも共感してもらい、楽しく仕事が出来るよう努めている。

 私はテレビを殆ど見ないし、SNSもほんの一部しか使っていないが、ラジオは一人一人に話しかけるメディアであるため好んで聴いている。「あなた」なのか、「あなたたち」なのかの違いだ。ラジオは「あなた」であるから共感し、行動を起こそうとする。「あなたたち」というと、もちろん、これで行動を起こすこともあるが、どちらかと言えば聞き流して、「みんながやるのだったらやるか」と、積極的に、主体的に行動を起こすことはあまり無いのではないか。これは会社でも言えることだ。1on1(ワンオンワン)で上司が部下の話を聞く。反対に上司の気持ちを伝えるという風に、組織を良くしていくためには、小集団、とりわけ「一人一人」を捉えていく必要があると思う。新入社員も入社し、また、人事異動もあったこの4月、新しい集団の中で今までとは異なる仕事をしている人も多いことだろう。先述した一対一や小集団での共感をポイントに、しかも朗らかに生産性を上げて仕事が出来るようにお願いしたい。

 



投稿者 磯村信夫 14:18