社長コラム 大田花き代表取締役社長 磯村信夫のコラム

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2021年12月13日

小売店の数はまあまあだが、生産者を増やさなければならない


 アメ横で商売をされている方が、「今年の年末のお魚の値段はいかがですか」と聞かれていて、「随分高くなっているんです。ただ、割高に思われないよう、今まで一切れ300グラムのところ250グラムにする等の工夫をしています」と答えていた。テレビでこのような報道を見たが、先週の土曜日、豊洲の魚市場の卸売会社の社長にお会いした際、「実際のところどうなんでしょうか」と聞くと、「二割がたは高くなっていると思います。ただ、国際価格にようやく合ってきたということなので、今後とも続くと思います」との返答だった。“国際価格”は、運賃高の影響も含めたものかどうかの詳細は聞かなかったが、最初に果物が先行し、次が花、そして魚が高くなっているようだ。

 新型コロナの新規感染者数が少なくなり、2年前と同様、駅周辺や繁華街の生花店が店頭販売でも売上を元に戻してきた。また、ステイホームで地元の商店街の生花店は復活したが、その中でも、変わらず売れている店と、お客さんが遠のいてしまったところがある。遠のいてしまったところのご主人は、「花の相場も高いし、花屋を辞めて誰かに貸して、家賃で暮らした方が良いかな」等と12月に入ってから言い出している人もいる。しかし、仲卸通りを見ると、若い人たちが沢山来ている。大田市場のすぐそばのJRの駅は大森・蒲田だが、そこの生花店舗はあまり変わらない。しかし、例えば池上線沿いの駅周辺だけでも、新しい生花店が出来て、まさに激戦区だ。ネット販売まで含めて、小売店の方は東京のように人が密集しているところでは問題ない。辞める人と新しく始める人と、新陳代謝をしている感じだ。しかし、問題は生産側だ。

 今、生産地として面積を増やしてもらっているのが、高齢ゆえに、果樹生産から早く収穫の出来る草花類や、枝物でも背が高くなく、成長が早く収穫できるものへの転換を促したり、あるいは、ソーラーパネルの下で栽培出来るものを栽培してもらったりしてきたが、これでは足りない。そこで、サラリーマン65歳定年を迎えた方で、もし、代々が農家であるのなら、花を作ることが出来る。少なくても園芸作物を作ることが出来る。例えば、長野県等、製造業が発達したところでは、65歳になって、あと10年、元気で農業が出来るはずだ。その人たちに花を作ってもらう。そういったアイディアがある。しかし、問題なのは簡易ビニールハウスだとしても、今建設費が高くなってしまっていることだ。どのくらいしっかり作るかによって違うが、10年間もつようにすると、坪2万円くらいかかる場合がある。定年を迎えた人には、身1つで別の仕事に務める、ボランティアを行う等、当然に農業以外の選択肢がある。農業はやりがいはあるが難しく、集中しないと出来ない。10年間を「もう一度やってみよう」とする気にさせるのは、意欲だけでなく、一定の助成制度と県の普及員や農協の援護等が必要だ。国の政策で、簡易ハウスでも助成があれば、「やってみようかな」というスタートラインに立つ、とても大切なきっかけになると思う。

 国産花きを増やすためには、地方の市場で地元の県に産地があるところ、また、新たに花を作ってくれそうなところは、積極的に卸売市場としても産地開拓をしていくことが必要になってきた。もちろん、県や系統農協も頑張ってくれているが、それだけではまだ足りない。市場は花をお金に換える機能を持っている。その卸売市場が言うのなら…と、やってくれるに違いない。積極的にもう一歩産地開拓、産地育成、花を作ってくれる人たちの数を増やす。このことに力を傾注していきたいと考えている。

 

投稿者 磯村信夫 14:07