社長コラム 大田花き代表取締役社長 磯村信夫のコラム

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2020年07月20日

家庭需要は「毎年良くなって、値段は変わらない」ことが必要だ。


 本日も、入荷量が前年に届かない。コロナ禍で三密を避けるため、人が集まる場所・イベントの需要(冠婚葬祭はじめ、ホテルやレストランの生けこみ需要)が減少している。それらの需要の花の出荷が少なく、更に輸入品も少ないからだ。これでは、まだまだ業者が食べていける状況にない。
 
 農産物全般がそうだが、特に花の場合には、コロナ禍で生活様式が変わっているので、地域によって需要の差が出ている。需要がしっかりしている地域でも輸送事情が悪く、大田市場の仲卸に要望があっても荷を送ることが出来ないこともある。改めて、地産地消の重要性と、日本国内のサプライチェーンを盤石なものにし、需給のバランスをとることの重要性を痛感した。一方で、種苗まで含めた花きの輸入では、「世界の良いもの」を、日本の花き業界は必要としている。例えば、新しい夏の花といえばクルクマが有名だが、この種苗も基本的にタイに頼っている。タイの前王様のロイヤルプロジェクトで商品開発が進み、世界中の主たる市場でタイのクルクマが人気になっている。
 
 生産の現場では、外国からの研修生が入国出来ず、その穴埋めを、稼働率が低くなっている地元の観光ホテルや飲食店にお願いしている。そのような記事が新聞に掲載されていた。しかし実際は、雇用の変更や人の移動がそこまでスムーズに進まないことの方が多い。また、2019年の統計では、「基幹的農業従事者の約7割が65歳以上」と高齢化している。そのため機械化もなかなか進まず、特に今年の天候では湿度が高いので病気も出やすい。さらに濡れた農産物は乾かさなければならない。等々、このままでは人手の問題と天候異変で生産量が減少することが予想される。  

 では、減少をストップさせる手立ては、どんなことが挙げられるだろうか。このコロナ禍で生活者の行動様式が変わったから、当然に、我々花き業界も変えていかなければならない。問題なのが、業界のICT活用の遅れである。コロナ禍でなかなか産地に足を運ぶことが出来ない現状が続いているが、どうにか生産者と緊密に話したい。そこで当然、リモートでコミュニケーションをとらざるを得ないのだが、産地側でリモート会議を出来ないことが多いのだ。高齢化で、ICTを使えない方が多いためだ。また、紙の良さもあるが、FAXで出荷伝票を送り続ける必要はあるだろうか。生産指導や、肥料や農機具の手配と同じように、ICT化、IOT化、ロボット化等、生産者がデジタル機器を使いこなせるよう、JAや地域社会の支援が必要だ。また、ICT活用の必要性は、生産側だけでなく流通上も同様だ。産地で貼られたQRコードが選花場-卸売市場-小売まで統一して使うことが出来て、販売情報も生産地も消費者へ伝わるようにする。また、輸送する際の花もちを「温度×時間」値で計算出来るようになったから、ICTを駆使しながら、消費者にもちの良い農産物をどう届けることが出来るか、検討することが重要になってくる。  

 私ども卸売市場だけでなく、花き業界全体が、新しいテクノロジーを活用しないと、人手不足の中で今後とも持続的に発展し続けることなど出来る筈がない。まずは、産地とリモートでの会合を定期的に行い、現状と今後の対策を一緒に話し合っていく。作付けだけでなく、荷づくりの変更、規格の変更によるコストダウン等を話し合い、原価の作り込みを行うのだ。生活者が手にする花束や鉢物は「質が良く手頃」、「業界は進歩している」と、価格でもメッセージとして伝わるようにしなければならない。そのために、高齢化の中でもICT活用を駆使し、合理化していきたい。

   

投稿者 磯村信夫 16:05