社長コラム 大田花き代表取締役社長 磯村信夫のコラム

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2020年11月09日

スッキリしたサプライチェーンへの途中


 最近、またコロナ感染者数が勢いを増しており、年末に向けて心配されるところである。WITHコロナで「新しい日常」を取り戻したいところだが、三密を避ける、手洗い・消毒・マスクをする等、既に当たり前になったことを、更に当たり前に実行していくこと。これに尽きるのだろう。  

 8月のお盆以降、より一層、産地は出荷先を絞ってきている。生産量も生産者数も減って出荷先を整理せざるを得ないというだけでなく、どうすれば農家手取りが高く、そして、代金回収まで含めた、しっかりした経営を系統農協や農家が続けることが出来るか。ここを考えて、物流効率化も合わせ、出荷先を絞る動きになっているのだ。一方、仲卸や大手小売店は仕入れ先を増やすことになっている。面白いもので、仕入れ先を増やした仲卸や大手小売店を見ていると、出荷産地は殆ど同じところのものが多い。きっと仕入先によって値段がばらついているのだろう。値段が安いものは差額を中間流通業者が負担しているのかもしれない。しかしこういったことは結局、巡り巡って産地の手取りを減らすことになる。買い手にとっての安定価格とは、低い値段で安定させることだから、この力が働く。一カ月では分からなくても、三カ月や半年の間に、あるいは1年を通じてみると、そのサプライチェーンでは、小売価格に対し生産者に三割以上の金額を返すことが難しい。

 日本では、市場の卸から直接購入すれば、購入手数料はかからない。仲卸から購入する場合は手数料がかかる。しかし、自分で購入しに市場へ行く手間が省けたり、専門知識が無くても希望の商品を手に入れることが出来たり、自分の要望に沿って提案してくれたりと、こういったメリットのため、手数料を15%以上払っても、結局、仕入係を雇うよりも安くつく。即ち、市場を使うメリットは大変大きい。このように必要とされる市場ではあるが、青果市場もだが、花市場はより一層、荷の量と小売店の数に対し市場の数が多すぎるのが現況だ。

 街を見ると、コロナで閉店してしまった飲食店の後、また新しい飲食店が入ったり、異業種の店舗が入ったりしている。そう、今は新陳代謝している最中なのだ。ただし、新陳代謝が必ずしも良いとは言えない。出来れば既存の生花店が時代と共に変わってもらい、続けてもらいたい。そして、そういう伝統を持った花屋さんがいてくれることが好ましい。コロナ禍で「花と緑のある生活」の豊かさに気づいた地域住民から、地元の花屋さんがもう一度注目され、商売になってきた。しかし、コロナ禍で沸き上がった需要に、即ち、あらゆる年代層に、あるいは、あらゆるライフスタイルの生活者に合った花を供給出来ない小売店は、この秋口位から、また厳しくなるのではないか。例えば、仏花ばかりの店では、若い人たちが行ってくれるかが心配だ。また、高齢化に伴い、後継者がいないといった問題を抱える店もあるだろう。そういったところには、他の人に店を任せたり、廃業して新しい店に入ってもらったりと新陳代謝が必要なのだろう。

 上述した通りの数の調整局面に、小売店、そして、市場は入ってきている。代替わりの場合も閉鎖の場合も、色々出てくるだろう。廃業があった場合にその地元の花文化が守られるよう、地域住民が困らないよう、基本は業界人として困っている所は助け合うこと、そして助け合いながらも我欲に走らないこと。これが必要だ。「サプライチェーンをもっとスッキリ」は、世界的な要請なのである。

投稿者 磯村信夫 15:12