産地ウンチク探検隊 生産者が語る花に対する熱き思いをご紹介します。

2017年02月17日

vol.117 みやび花園さま:群馬県 切り花パンジー


ウンチク探検隊のアップデート、お待たせいたしました!今回は突然すぎますが、クイズから始めさせていただきます!
さて、ここはどこでしょうか。

ヒント1:白い山は浅間山(あさまやま)、ギザギザした山は、日本三大奇景に数えられる上毛三山の一つ、妙義山(みょうぎさん)。
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ヒント2:「こんにゃくパーク」はこんにゃくラーメン、こんにゃくカレーなど、地元の名産こんにゃく料理食べ放題!
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そして最終ヒント。コチラ↓
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これで多くの方はピンときたかもしれません。そうです!世界遺産の富岡製糸場。
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今回のウンチク探検隊は群馬県富岡市にやってまいりました!
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※富岡製糸場のことは、後編でご紹介させていただきます。

2014年世界遺産登録により日本中を沸かせた富岡市で今、切り花市場を沸かせている生産者さまがいらっしゃいます。その品目はとても需要が高く、生産が追い付かないほど。

その品目こそパンジーです。
しかも、切り花のパンジー!

2016年はPPAPがヒットしましたが、2016年は花の業界もPPAP!その一つの“P”こそPansy(パンジー)です!

切り花パンジーが人気と聞いて意外と感じる方もいらっしゃるかもしれませんが、今やパンジーは春のブーケには欠かせないアイテム。このように春のブーケやアレンジメントにはとても重宝されます。
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デザイン・制作:fleurs trémolo (フルール トレモロ)様

はたまたパンジーだけを束ねて販売したりする生花店さんも!
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写真:品川区の生花店店頭


まさにこの切り花パンジーの生産で、富岡製糸場と同様に花き業界では全国に名高い方がこの富岡市にいらっしゃるのです。
その方こそみやび花園(はなえん)様

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昨年末には「フラワー・オブ・ザ・イヤーOTA2016新商品奨励賞」をご受賞されました。
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みやび花園様のパンジーは1本の切り花から次々と花芽が上がり、トータル3-4週間ほど楽しめるという驚異的な日持ちを誇ると巷で話題に(←ホント)。多くの買参人さんやフラワーデザイナーさんを驚かせ、業界をザワつかせるほどのすごいパンジーをご出荷されると伺い、その秘密を探りに訪れました。

こちらはみやび花園の佐藤雅志(さとう・まさし)さんと奥様の美子(よしこ)さん
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うん、なるほど、みやび花園さまの「みやび」は佐藤雅志さんの「雅」の字からとったものですね。
パンジーの美しさは美子さんからとったものでしょうか。きっとソーダ!
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では早速、業界をザワつかせる切り花パンジーの秘密に迫ってみたいと思います!

★栽培の秘密★
圃場の扉を30cm開けただけで中からふわりとパンジーの香りが漂います。
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一歩足を踏み入れれば真冬の風景から一変、そこは一面春の花畑。まさにパンジー栽培の秘密が詰まった“秘密の花園”。
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噂のパンジーの秘密を一つ一つ紐解いていきましょう。

まずは、1本の切り花パンジーが何週間も日持ちする理由について、栽培の秘密はなんでしょうか。

【秘密その①】
佐藤さん
「それは株を丈夫にすることだよ。
株を丈夫にするには、日頃の手入れをすること
日頃の手入れとは、つまり花を摘むこと

花を摘む?「(゚ペ)??
出荷する前に花を摘んでしまうのですか?

「そうだよ。
出荷するのは草丈が十分伸びてから。丈が短い時でもどんどん開花してくるからね。この花を摘んでしまわないと、植物体のエネルギーを使いすぎて、株が傷んでしまうんだ。無駄にエネルギーを使わず、出荷する花にエネルギーを集中させるよう、花を摘み取ることが大切なんだ」

IMG_5169 この花摘みの作業がまた大変なのです。下にしゃがんで横移動しながら、出荷まで1株につき10-20輪は上がってくる花やツボミを次から次へと摘んでいくのです。

こちらの花摘みの跡をご覧ください。ここには以前花が咲いていました。
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よく見れば、圃場のあちこちに花摘みの跡が。

スゴイ労働力がいりますね。みやび花園さまは、現在佐藤さんご夫婦とパートさん7人。

「それくらいの手がないと、花摘みが間に合わないんだよ。
一生懸命花を摘むから、その後は葉だけ残って何色の花がわからないくらい(笑)」

えええーーーーーッ!そこまで徹底的に摘んでしまうのですか?w(゚o゚)w !!

「そう。“咲いたら摘んで、咲いたら摘んで”を繰り返すことで、根に栄養を集中させるんだ。
丈が伸びたら1本に3輪ほど付いた状態で出荷。」

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根に栄養を集中させて、株が十分なパワーを持った状態を作り上げることが日持ちするパンジーの秘訣。
観賞条件さえ良ければ、1本の茎から2-3カ月ほどは次から次へと花芽が上がってきて、開花を楽しめるというわけです。
このように、根から切り離しても、次から次へと花が上がってきて、1本でいくつもの花を楽しめるのはパンジーの醍醐味です。 あ、もうすぐここにツボミが上がってきているではありませんか!これがみなさまのご自宅で開花するというわけですね。
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「1本に3輪付いている場合、最初に咲いた1輪は比較的早く開花が終了するので、その1輪は速やかに取り除いてね。 その後に次のツボミがすぐ開花してくるから大丈夫。」
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【秘密その②】
ここで皆様にオドロキの切り花パンジーの秘密を公開してしまいましょう。(タマゲマスヨ!)
こちらをご覧ください。

畝はマルチで覆い、
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その中に灌水チューブを通す。
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マルチの下に柔らかい灌水チューブが設置されていて、そこから灌水します。

圃場内にはいくつものファンや除湿器が設置され、徹底的に湿度を下げる。
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キーワードは“地上は乾燥、地中は適湿”
それはパンジーのある性質が考慮されてのことです。

佐藤さん
「パンジーは基本的にはよく根っこから養分を吸収するんだ。
好きなんだけど、空気中の水分は嫌う。湿度が高いと花にシミ(ボト)が出てしまうんだ。
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だから灌水チューブの上にマルチをかけて、できるだけ水分が地上に蒸散しないようにしている。
ここ関東平野は冬場は湿度は低め。とりわけ、群馬は空っ風が吹くので、外気の湿度はかなり低いんだけど、植物が呼吸する分、マルチを敷いていても尚、ハウス内の湿度はすぐに高くなってしまうんだ。
空っ風は群馬の名物↓ 義理人情も名物。
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このハウスは24時間自動で、外気の乾燥した空気を取り入れ、ハウスの中の湿度の高い空気を放出しているんだよ」

え!?ここが・・・ですか?

「そうそう、もちろん天窓も空いているけど、それだけじゃ湿度のコントロールが間に合わないから、この機械が湿度の上がったハウス内の空気をで強制的に外に放出して、外の乾燥した空気を機械を通してハウス内に取り入れる。ハウス内の湿度は40%以上にならないようにしているんだよ」

二つあるパイプの一つがハウス内の空気を吸って外に出し、一つが乾いた空気をハウス内に入れているのです。

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こちらがその空気を循環させている機械。この圃場の心臓部と言ってもいいでしょう。二つあるハイプはさながら心臓の大動脈と大静脈と言ったところでしょうか。プラス、夜間は暖房も点けます。
もしかしてパンジーって設備投資高め(; ̄ー ̄)?

「それをしないと、シミやボトのないパンジーを安心して作れない。」

パンジーは、ガーデニングの苗としても楽しまれるくらいですから、露地でも栽培できるものだと思っていましたが、実は相当デリケートな植物なのですね。

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「そうなんだよ。確かにパンジーは気温がマイナスになっても株は枯れない。丈夫なイメージがあって、ほかの人からは暖房費とかコストが抑えられていいネと言われることあるんだけど、ところがドッコイというわけ。この換気が生産の中心。これが十分にできないと、花が咲いても切り花には向かないんだ」 IMG_5190

【秘密その③】
このライトは?
あまりのパンジーのかわいさに下ばかり見てしまいましたが、ふと見上げれば電灯があるではありませんか。
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「電照用だよ」

え?電照?パンジーに?まさかの「電照パンジー」??
ナゼですか?(゚ー゚*?)

「やはり、草丈を伸ばすには電照が必要。作業用ではなく、草丈を伸ばすために毎夜電照を使っているんだよ。」

パンジーは光に反応して生長するので、切り花として草丈を採るには、夜間も光を当てることがポイント。パンジーの苗生産とは大きく違うところといえるでしょう。
パンジーの施設は、実はかなりのフル装備だったのですね。

【その他の秘密】
佐藤さんは、栽培環境がパンジーに適しているか、何か変化はないかを毎朝「パンジーの顔色」を見て確認します。

「1輪のパンジーが持つ力強さ、生き生き感がどれほどかを見る。」

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パンジーの顔色を見れば、環境が適しているかどうかがわかるのだそうです。
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どの植物もそうですが、パンジーもやはり太陽の光が差す方向を向いて花を咲かせます。
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ですから、佐藤さんの圃場の場合、太陽を背中にしながら、入口から奥に向かって作業をすれば、ちょうど一つ一つのパンジーの顔色を確認しながら仕事ができるというワケです。

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また、パンジーも同じところで生産していれば連作障害は出ます。
しかし、それを防ぐために化学肥料は使わず、有機肥料だけで土づくりを行うのも佐藤さんのこだわり。

一つ一つの選択に生産に対する丁寧さが感じられ、佐藤さんの人となりを垣間見ることができます。


★選抜と育種★
みやび花園さまは、各種苗会社さんから仕入れた品種を栽培するばかりでなく、ご自身で選抜と育種を行い、新品種の開発を手掛けています。どのように行っていらっしゃるのでしょうか。

佐藤さん
「好みの花型、花色が出たときに人工的に交配するんだよ」

圃場一面にたくさんの花が咲く中で、残そうと思うその花の特性はどのあたりなのでしょうか。

その1:草丈が採れるもの
「切り花パンジーは草丈が採れることが絶対条件。 出荷の際30cmくらいは必要だから。パンジーの花畑の中で、草丈がぷーーーーッと伸びるものがあったら、その花の種を採ることが重要だよ」
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ここは、苗物のパンジーの育種と決定的に異なるポイントのひとつですね。
中には、地を這うように伸びる匍匐(ほふく)性のパンジーもあるそうで、間違ってもそのような性質のものと交配してはイケナイ。
同じ種から育った花でも、突然変異的に背が高くなる個体が出てくることがあるので、それを見逃さずにお顔のカワイイパンジーちゃんと交配して、そのDNAを残すのです。

その2:花弁が丈夫なもの
花弁が弱いものは湿度やちょっとした衝撃でシミになってしまいます。ですから、丈夫なものが◎
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その3:明るい色目のもの ひとつの品種でも色目は様々。紫色や濃い赤など暗い色の束の中に、明るい色が入ると映えるので、明るい色目は積極的に残していく!明るい色目は色バリエーションの拡大にも一役買える。 IMG_5209

このような観点で選抜していくのも、
「生花店のみなさまが使いやすく、自分たちの感性が反映された品種を生み出したいから
とおっしゃる佐藤さん。

そしてみやび花園さまの圃場かた誕生したオリジナル品種こそ“カルメン”★★★

こちらの畝まるごとぜ~んぶカルメンです。
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こちらのパンジーも、様々な色や花型、花サイズがありますが、この写真に写っている分、全て1つの品種、カルメン。
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なるほど。確かにパンジーのこの色のバラエティの豊かさは、他の色にはなかなか実現できないものがあるかもしれません。
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ひとつの品種の中で良い色や花型を見つけ、それを増やそうと思った場合はその品種の花粉をもう一つの品種に受粉すれば、その品種に似た性質を持つものが誕生する可能性がある。

「受粉して種を採って咲かせてみて、どんな花か確認する。それを安定的に出荷できるように増やすためには、開花を確認してからさらに2-3年はかかる。これがなんとも時間と手間がかかる仕事なんだけど面白いところ」
という佐藤さん。
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パンジーの育種は時間がかかるけど面白いだなんて、やはり佐藤さんは気が長いのでしょうか。
「植物と向き合う時だけで気長でいられる。
植物のペースはゆっくり。そのペースにイライラしても仕方ないもんね」

植物相手では、自分が植物に合わせるしかない。そして、お客様のご意見を取り入れると自分の好みのパンジーが生まれる。
「それがパンジーの魅力。
手間をかけて長年パンジーと向きあった結果、好みのものができると本当にやりがいを感じますよ」

佐藤さんはパンジーに魅せられているとおっしゃいますが、お話を聞いていると佐藤さんがパンジーの魅力を引き出しているように思えてなりません。

これらは佐藤さんの自家採取のパンジーの種。
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ゴマに似ているかもしれません。これを5-6粒ずつ指にとってプラグ苗に撒いていきます。
花が終わると、このように種の房ができて、その中に種ができるのです。1つの房に40-50粒くらい入っています。
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佐藤さんがこのように選抜と交配を続ける限り、切り花パンジーはこれからもまだまだ進化します。

パンジーの新品種は、みやび花園様のセンスとご努力と自然と生命の神秘との掛け合わせによってもたらされた賜物。 ぜひみなさまも、これからの春の切花パンジーにご期待くださいませ♪


ちなみに、フラワー・オブ・ザ・イヤーOTA2016で新商品奨励賞を受賞した“ミュール”は種苗会社のサカタのタネ様の品種です。
ミュールもフリンジが強く魅力いっぱいの品種です。
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フリルが強くて、どちらが前なのかもうわからない状態↓なのが魅力の一つ♪
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★なぜ切り花パンジー?★
パンジーは花好きな人でも尚、ガーデニング素材というイメージを強いかもしれません。しかし、その定型を打ち破り、現在のヒットに繋がりました。そもそもなぜ切り花で出荷しようと思ったのでしょうか。
まずは“パンジーとの出会い”についてお伺いしてみましょう。

佐藤さん
「きっかけは平塚で花を生産していた私の友人なんだよ。
以前、出荷していた神奈川県の卸売会社から仕入れているセンスの良いトップクラスのT生花店さんがあってね。
湘南にあったんだけど、ある日、Tさんに“遊びにおいで~”と言われ、市場に荷を降ろした帰りに何の気なしに立ち寄ったんだ。
勉強させていただこうという気持ちもあったしね。
そしたら、そのお店にパンジーの切花があったんだよ!」

なるほど、最初はT生花店さんとの出会いですね。 どのくらい前のことですか?

「34-35年近く前。
その頃、実はパンジーの切り花は既にあったんだけど、茎は付いていなくて、花首だけで販売されていた。これが当時のスタンダード。

ところが、その店にはしっかりと草丈を採った切り花のパンジーがあって、一目見て二人で感動しちゃったワケ」

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切花のパンジーは最近の花だと思っていたウン探には、35年前に既に湘南の生花店さんで販売されていたという事実がかなりの衝撃です・・・w( ̄△ ̄;)wおおっ!

「実際、当時の種苗会社のカタログを見ると、営利用の切り花パンジーっていうのは既に掲載されていたんだよ。
だけど、草丈が30cmなどというものはなかったなー。

だから、そういう植物に対する発想や斬新さにびっくりした。
“こういう商品が世の中にあったんだなぁ~”ってね。

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二人して感動したものだから、これを作っている生産者さんに会いたい!って思って、T生花店さんに聞いたら、平塚の落合さんていうカーネーションの生産者さんが作っているっていうんだ」

へー、カーネーションの生産者さんがパンジーを・・・ですか。

「ところが、カーネーションの落合さんって、T生花店さんを訪れる直前に立ち寄った生産者さんだったんだよ」

えーーーーーー!!??w(゚o゚*)w

イナヅマが走るような衝撃を受けて、どこで作っているのかと思ったら、さっきまでいたところだったってことですか?

その日の佐藤様ご夫妻のルートは以下の通り。
卸売市場に荷を降ろす→平塚の落合さんというカーネーションの生産者さんを訪問→湘南のT生花店さんへ。ここで衝撃的な切り花パンジーに出合う。生産者さんを教えてもらったら、なんとさっきまでいた落合さんだというわけです。

でも、最初に落合さんを訪問されたときはパンジーはなかったわけですよね。
「そう、見なかったの。
だけど、その足ですぐ落合さんちに戻って切り花パンジーを見に行ったんだよ。」

“思い立ったが吉日”的にすぐに落合さんに戻ったといいます。もはや情熱と信念のみに突き動かされているといった感じでしょうか。もう日も暮れて周囲は真っ暗だったところ、パチッと圃場内の電気が灯された途端に、佐藤ご夫妻の目の前に広がったものは・・・
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一面のパンジー畑。(↑写真は佐藤さんの圃場です)

「落合さんはなんてすばらしい感性の持ち主なんだと感動したよね。
当時の常識を打ち破って、草丈30cm以上を確保してパンジーを出荷していたんだから」
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みなさん、30-35年前ですよ。時はバブル経済を迎えていました、この日本。
どのような花が主流だったかって、そりゃバラとかカーネーションとか、色目がはっきりとして、できるだけ大輪で、茎もしっかりと剛直なものヨシとされていたときですよ。それらの花に添え花としてカスミソウを併せて、ふんわりとした大きな花束がスタンダードだった時代ですよ。
その時代に、ニュアンスカラーの小輪で草丈が30cmほどのパンジーを出荷しようなんて、当時の社会的背景を考えればだいぶ飛び抜けた感じだと思いますね。(←ウン探的視点)

「だから感性がすごいなーと思ってね」

落合さんの感性も然り、またT生花店さんでご覧になって“ビビッと”きたお二人のセンサーも飛び抜けていると思うのですが・・・そこでお二人のセンサーが動いた理由はなんですか?普通だったら、T生花店にあったとしても、気付かずに見過ごしてしまうところなのでしょうが。

「ひとことで表現しにくいんだけど、なにか“パンジーの輝き”を感じたんだよね。
今までの想像をはるかに超えた商材に見えたし、実際に当時はそうだった」

それから“落合さんに倣って植物の魅力を引き出せる生産者なろう”と思ったという佐藤さん。
そこで、

落合さんが地元で作って地元で消費される花を生産しているのと同様に、群馬で作って群馬で消費される花を作ろうと考えを切り替える。
「良い商品は良い品質のまま届けたい」(神奈川までの出荷では、当時延着や箱傷みが頻発、不利と判断)

地元に出荷するなら、あえて荷傷みしやすいものを選んで生産しようと、ストックやマーガレット、カスミソウなどの草花などの草花をメインに据える。

同時進行でその他の草花も生産。ハウスの1割を割いて、現在のトレンドとは異なるが、遊び心でユニークな商材を生産。
このハウス1割のスペースをウン探は「未来のトレンド畑」と呼ばせていただくことにします。未来のトレンド畑の中に切り花パンジーがありました。

やがて、マーガレットやカスミソウなどは販売状況から、時代の変化や花のトレンドに合ってないと(当時)感じ、一大決心で生産を止めることに。

未来のトレンド畑にあったパンジーが人気で徐々に生産面積を拡大。
現在に至る。

「マーケットでは主力になれないような、一度は廃れたものばかりを面白がって作っていたから、当時、某種苗会社の担当者に
“佐藤さんは日本でも10本指に入るほどの変わり者だね❤”
って言われたことあるよ(爆笑)! でもね、“変わり者”って褒め言葉だって勝手に解釈したんだよ。」

もちろんですよ、佐藤さん。

「他の人と同じモノ、同じ感性っていうのはちょっと敬遠しちゃうんだ。
人が作っていないようなモノを挑戦して作っていった方が、オモシロイし自分のためになる。そういう考えに草花生産の原点があるし、醍醐味があるんだよ。
個性を出せるものがいい。昔あって忘れられたようなものでも、自分でもう一度作り変えて出せば、世の中に受け入れられるんじゃないかとか受け入れられるんじゃないか、そういうことができるのが草花のいいところなんだよね


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このような経緯で切り花のパンジー生産に辿り着いた佐藤さんなのでした。

しかーし!

いくら変わり者と褒められるといっても、この日本一の養蚕地帯で最初から花を作ることには世間的に見たらかなり独自路線を走った選択といえるでしょう。佐藤さんのお父様は養蚕業と野菜生産でした。
富岡製糸場もほんの8-9キロ先。群馬県の農業といえば当時はなんといっても“米麦養蚕”(べいばくようさん)。この三大農業なら間違いなかったワケです。日本随一の養蚕地帯でしたら、お父様が養蚕をされるのは自然なことです。
↓「上毛かるた」
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そのような流れの中でどのようにして花を作ろうなんて思い至ったのですか?

佐藤さん
「花を作って成功した人の話なんて聞いたことなかったからね、確かに珍しいことだったと思う。でも、小さいころから家の手伝いをしていて“あーーー、養蚕イヤだな~”、“米作りもイヤーだな~∈(´Д`)∋アァー”っていう思いしかなかった(笑)
何より大変そうだったからね」

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そこで花を選択。理由は
1 花が好きだったから
2 大変そうなお父上と同じ仕事はしたくなかった

なのだそうです。勝算はあったのですか?

「なかった。ナイ、ナイ(笑)」

年数をかけて、徐々にお父上が認めてくださるようになったといいます。
そして花のように美しい奥様の美子さんも花が好きだった。
佐藤さんはお父上の土地を借りて花生産をスタート。桑畑を開墾するため、山に行っては落ち葉を採ってきて、それを堆肥として畑に混ぜて土壌を作っていきました。

しかも、美子さんはお子様を背中におんぶして、桑畑を花用に開墾していったのです。
子供をおぶって桑畑に入るのは、まさにこの養蚕地帯の原風景。

ホント、群馬の人みたーーいッ(´∀`)

あ。群馬だった。しかも養蚕産業の中枢の地域だった。失礼しましたm(_ _)m

「好きな花を作って生活していけるんだから、いい仕事だなって思います」

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みやび花園さまのパンジーシーズンは主に12月から3月。 みやび花園さまからは切り花パンジーのほか、今ならルピナス(草丈90cm!)、
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パンジーシーズンが終了しますと、4月後半からジニア、アスター、マリーゴールド、 ナデシコ、秋ならパニカム(染めもアリ)などもみやび花園様からご出荷がございますので、是非ご注目くださいませ。


◆格言◆
・草丈が伸びるまではひたすら花摘みをして、株のエネルギーを蓄えよ。それが日持ちするパンジーの秘訣。

・“地上は乾燥、地中は適湿”と心得よ。
 パンジーの根の部分は十分な水分と養分を、地上部分は徹底的に湿度を除くべし。
 この湿度コントロールが切花パンジー生産の心髄なり!

・生産と同時に切り花パンジーに適した品種を選抜せよ!
 ポイントは、 1.草丈が採れるもの。ぷーーーーッと伸びてきたらその品種は◎
   そして、2.花弁が丈夫でシミになりにくいもの。

◆パンジーの楽しみ方◆
エネルギーを十分に蓄えたみやび花園様のパンジーは、花が終わっても次のツボミが上がって開花します。開花期が終わった花柄は速やかに摘み取り、次の開花をお楽しみください。

こんな風にあえてドライにしてリースにするという使い方も。これも、みやび花園様の花弁が丈夫なパンジーだからこそできるワザ★
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制作:fleurs trémolo (フルール トレモロ)様

アイディアとセンスで世界が広がるみやび花園様のパンジーなのでした。

後編で「世界遺産富岡製糸場とパンジーとの交差点」をご紹介いたします。

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パンジーデザイン写真ご提供:fleurs trémolo (フルール トレモロ)様
その他の写真・文責:ikuko naito@大田花き花の生活研究所