社長コラム 大田花き代表取締役社長 磯村信夫のコラム

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2017年02月06日

買い物の場全体のステータスを上げる花売り場


 先週は旧正月(春節)のお休みで、越後湯沢のスキー場は中国の方々を中心に賑わっていた。現地のタクシー運転手さんに「外国の方はどの位いらっしゃっているのか」と聞くと、外国の方と日本人と半々くらいではないかとのことだった。特に、宿にお泊りの方々は海外の方が多いように思った。タイや香港、台湾からの人は、結構しっかり厚着をしているので分かる。また、お子さんを2人連れていると、「中国本土の方ではないな」と分かる。中国と言っても広いから、着ている物の厚さによって、薄着なら上海より北の方、防寒対策をしっかりしているのは、広州の方々と分かる。

 嘗ては、お行儀の悪さやファッションで海外の方だと分かったが、今やもう、海外の方も「郷に入っては郷に従え」で非常にお行儀が良くなっている。これは、スキー場でのことだから、いずれも若い人たちのことだ。彼らを見ると、どこの国でもスマホは欠かせないといったところか。ゴンドラやリフトで一緒になるので、お互いに気が向いた時に会話をする。花の仕事をしていると言うと、「良い仕事ですね」とは言ってくれるが、実際に花を贈ったり飾ったりすることは、まだ少ないようだ。

 彼らと花屋さんの話をしていると、日本では、駅ビルやショッピングセンターの出入り口等の、目立つ場所に花屋さんが多いと言う。そういうショッピングの場所は、良い商品を売ろうとしているし、花はフレッシュなものだからきちんと回転・繁盛していることが分かる。つまり、その花屋さんが入っている駅ビルやショッピングセンター自体が、お客さんから支持を受けているという印象になる。バカンスで来たアジアの人も、日本人と同じくそう感じている。そうなると、ネットで花を買う人が増えてきている昨今、リアル店舗でコストをかけてでも、良い所に出店する意義は、花の消費の為だけでなく、その花屋が入るショッピングセンター全体の為にもなることにある。40歳代や30歳代、そして、大学生たちと話していてそう思った次第である。

 フローラホランドの調査によると、30歳未満の若い人ほどネットで花を買うそうだ。しかし、女性に限っては、殆どの人がリアル店舗で花を買う。花を買うのは、仕事ではなく楽しみなのだ。男性にも、花を買う楽しみを覚えてもらえたら良いのにと思う。それには、日本の場合、まず、鉢物からではないだろうか。男性も気に入ってくれる鉢物の供給をしっかり行い、通りすがりの男性に「何となく欲しいと思っていた花(鉢物)はこれだ」と、花屋さんでも、雑貨屋さんでも見つけてもらえたらと思う。花育活動とは別に、カッコいい男性向けの鉢物やシブい枝物、花を提案して欲しい。とにかく、リアル店舗の人達に頑張ってもらいたいのだ。


投稿者 磯村信夫 : 10:48