社長コラム 大田花き代表取締役社長 磯村信夫のコラム

[]

2016年12月05日

どうにかしたい深刻な松・千両の人手不足


 いよいよ、松市の週になった。東京の中央卸売市場では、各市場ともポインセチアやシクラメン等の鉢物の取り扱いが増える為、日曜日に松市、千両市が行われる。荷主さんからは、松の切り出しから人手が足りない。また、これは男手でなくても良いが、千両の選花・選別作業をする人が足りない。そういった声が聞こえてきた。だから荷が少なくなってしまうのだ。

 茨城県の鹿島アントラーズの本拠地、茨城県立カシマサッカースタジアムのすぐ側が松の大産地、そして、そこから少し行った波崎が松と千両の大産地だ。消費者が必要とするのは、数の子と同じくらい特別な一定の時期だが、同じ年末シーズンでも、数の子と違い保冷をして作業を平準化することは出来ない。収穫・出荷作業は集中的に人手を使って行わなければならないのだ。こうなると、特別の応援が必要になってくる。今までは、少子高齢化といえども、景気が悪い時期が続いた為、年配者ならどうにか人を集めることが出来た。しかし、東京オリンピックが決まり、さらに、人口が少なくなってきていることも相まって、松は畑にあるけれども切りきれない現状になってしまっている。また、千両は選別が厳しくないとお花屋さんに迷惑をかけるから、難しいがとにかく人集めをする。従って、さらに高い人件費がかかることになる。

 日本の文化に欠かせないこの松と千両を、生産を減らさずに消費者に届ける為には、農業の研修生制度も良いが、同じ茨城県内なら、行政府が一定の時期だけ人手を援助してくれる制度や、または、農業特区のような形にする等の施策が必要ではないか。さらに、一定の条件の下で規制緩和を行い、海外から、あるいは、国内からでも労働力の強化を図れるような方式にしてもらえればと思う。

 年々、生産者数が減っている松と千両であるが、需要量をしっかり満たすだけの気概を、まだ茨城県、千葉県の生産者たちは持っている。来年の出荷が始まる前までに、手不足をどうするか。物日産物の農業振興の為、議員の先生方や行政府に改善策を、生産者と産業人と共に考えて頂きたいと思う次第である。


投稿者 磯村信夫 : 14:16