社長コラム 大田花き代表取締役社長 磯村信夫のコラム

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2017年01月16日

来年度に向けての計画を立てる


 朝四時頃に、私は現場巡回をすることにしている。16日の今日は、屋根のないところに置いてある水バケツに氷が張っているという、暫くの間経験していなかったことが起こった。関東平野部はからっからに乾燥しており、女性だけでなく、お肌のお手入れは花も必要だと思うが、湿式で気を付けなければいけないのは寒さ対策である。

 寒さ対策といえば、洋ランやグロリオサ等、セリ落としたものもセリ室の下に保管しておいて、最後に買参人に分荷する。7度以下だと亜熱帯、熱帯の花は傷んでしまうから、取扱いを注意しなければならない。寒い所に転送する仲卸さんの荷づくりをみていると、「ああ、ここまでやるのか」と思う位、手厚く、手際よく荷づくりをしている。また、北の卸売市場が関東から荷を運ぶ際に、産地の荷づくりで防寒対策が十分でないと凍ってしまう。従って、冬場は航空便ではなく、トラックを仕立てて集荷する会社がある。大変、素晴らしい鮮度保持対策だと思う次第である。

 さて、花き業界は、もう一度、広い目で見渡して自分の商売を考え直す必要があるのではないか。生活者の花や緑の需要は高まっていると、生活者の行動や消費動向を見ていると思う。例えば、ソファーでも、自然色のクッション、花柄や葉をデザインした物が好まれている。また、フローリングはもちろん、机や椅子、この頃は10階以上のビルも木造のものが建設されている。人間が自然と対話しながら、また、自然を利用させてもらいながら生活してきた、感覚的な“なごみ”を感じさせるものが多くなってきているのだ。ランドスケープのみならず、庭園や壁面緑化、苔玉や多肉植物、観葉植物、もちろん、鉢物の寄せ植えや切花、さらにはプリザーブドフラワー、造花。どれが良いとか、悪いとかではない。花や緑、自然のある生活をしようという風にしている。着ている物でも何でも、一方に科学、一方に植物からの贈り物を素材にしたもの等、挙げたらきりがない。こういう中で、お花屋さんは何を中心に、どんな生活のシーンを考えて、生活者にお役立ちをしようとしているのか。また、市場やメーカーも、仕事上自分が本当にやりたいことは何かを考えて、今という時代に扱うモノやコトに焦点を絞る必要がある。古い言葉だが、「TPO」は、新たに会社が自社のやりたいことや定義を決める時に欠かせないポイントになる。人々は生活の中で、花や緑等でどのように幸せになりたいのか。「TPO」を考え、取扱い品目の幅を規定し、モノやサービスを「良いモノ安く」供給していく必要がある。

 今、日本は第三次グリーンブームであるが、花き類の世界生産は、横ばいから微減になり、単価が上がってきている。また、第四次産業革命や行き過ぎたグローバリゼーション是正の新たな時代でもある。この中で、皆さんは何に集中してやっていこうとしているのか。今まで通りは衰退を意味する。もう一度、抜本的に自社を定義し直し、自分の事業範囲や取り扱う花と緑、サービスを決め、遅くても二月中旬までには、来年度に向けた最終の計画を立てて欲しい。


投稿者 磯村信夫 : 16:32