社長コラム 大田花き代表取締役社長 磯村信夫のコラム

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2017年06月05日

問題点解決のために


 5月末から6月の始めにかけて、東京では花のイベントが目白押しだった。日本橋高島屋では、日本いけばな芸術協会の創立50周年記念の展覧会が、日本橋三越では、「いけばなの根源 池坊・東京花展」が開催された。これは先週から全国展開されている東映配給の映画『花戦さ』のプロモーションも兼ねてとのことだったが、それだけでも十分見ごたえのある展覧会だった。さらに、銀座松屋ではマミフラワーデザインスクールの「マミフラワーデザイン展2017」が開催された。色とりどりの部屋の色に合わせた花の展示等、趣向が凝らされていた。そして、先週の2日(金)~4日(日)、東京ビッグサイト前「石と光の広場」で「第1回エチオピア・フェスティバル」が開催され、特産のバラが販売された。こんなに花にまつわる行事が多いということは、花にはそれだけの集客力があり、人気な商品であるということを裏付けている。花見に旅行へ行ったり、駅で青山フラワーマーケットさんが販売しているシャクヤクを見るだけで季節を感じ、自分が生きていることを実感する。

 3月決算のそれぞれの団体では、この時期、総会を開催している。儀式用の白菊や、仏花としての菊の需要減をどうやって補うか。また、鉢物流通が運送の問題から上手くいかなくなってかれこれ10年が経つが、市場外流通に対応し、卸売市場を経由した街の小売店の販売をどうするか。この2点が、花き業界の課題として挙げられることが多い。そして、平成29年下半期からの問題として、農業競争力強化支援法案で買取をするようになる全農に対し、卸・仲卸はどう対応していけば、各自が所轄する地域の消費者に過不足なく花を届けられるか。そして、専門店が店を畳むことが多くなった今日、どのように花き文化を伝え、消費を減らさずに、むしろ増やしていくことが出来るかとの問題提起をする組織団体が多くなった。上述した4つが、消費拡大活動以外の花き業界の課題であろう。

 今年と来年の流通上の混乱期を経て、農業改革の期限がそうである通り、2019年の夏までに、統廃合や合併、企業間の垂直・水平統合等の方向性が示され、早いところでは行われるだろう。生産から小売りまで誰と組みどうしていくかが、生産者と消費者、その小売店の商売に役立つかの鍵を握っている。
 卸売市場もだが、ロジスティック専門業者もまたプレイヤーである。種苗から輸出先の卸売会社まで含め、新しい組合せが登場するに違いないと想定している。これから約1年余り。あまり混乱の無いようにしながら、花き流通が出来れば有り難いと思っている。


投稿者 磯村信夫 : 11:36