社長コラム 大田花き代表取締役社長 磯村信夫のコラム

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2017年05月15日

三世代の花の母の日に


 大田市場花き部のセリ室の上にある展示ショーケースに、先週から本日までガーベラが飾られていた。私は「中々やるな」と思ったが、お花屋さん達からすると、ついこの間「良い花の日(4月18日)」で「ガーベラの記念日」をやったばかりなのにと思っている人もいる。しかし、私が「中々やるな」と思ったのは、「母の日のプレゼントにガーベラを使ってください」と提案されていたことだ。大田花きは展示の目的をもっと明確にアピールし、提案していけるようにしたい。

 日本農業新聞で、日本列島の主要市場の品目別入荷量と単価の生データが発表されている。これらの市場はいずれも地域の中核を担う市場で、団塊ジュニア層が周辺地域から移り住む場所にある。官公庁やオフィス街がある。高級商店街やデパート、大学もある。そういう都市に若い世代が集まり、トップクラスの花が売れる。

 ここで、ガーベラを見てみよう。20世紀末、オランダから一時輸入されたことがあったが、ガーベラは100%国産だ。形からして航空便に不向きだからだろう。そのガーベラは今、誰が好きな花だろうか。そう、子どもたちである。子どもたちに絵を描かせてみたらよく分かる。嘗てはチューリップとマーガレットを描く子が多かったが、今はチューリップとガーベラ、そして時期によりヒマワリだ。その中で通年出荷されているのはガーベラである。団塊ジュニアの一番上の子は、中学校高学年か高校生くらいになっただろうか。その子どもたちが団塊ジュニア層のママにガーベラをプレゼントする。団塊ジュニアは団塊世代にプレゼントする。このように、日本で人口が多い世代の人達が母の日に花をプレゼントしている。

 カーネーションは、切花も鉢物もお母さんが貰って喜ぶ花だ。アジサイやバラも良い。花のプレゼントが本流だと思うから、カーネーションに似せた石鹸やチョコレート等、花をモチーフにしたものも良くプレゼントされている。こうやって、母の日が発祥した逸話に倣って、花をプレゼントしていく文化が、むこう30年は続きそうだ。有り難いことである。
 
投稿者 磯村信夫 : 16:44