社長コラム 大田花き代表取締役社長 磯村信夫のコラム

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2017年04月03日

いかにお金を出して買って頂けるかを考えて仕事を組み立てる


 (一社)日本花き卸売市場協会主要市場の、2月期取扱高実績速報があった。前年比±5%であれば許容範囲だが、前年比110%以上や90%を下回った場合には激震が走る。鉢物・苗物類は、この時期生産・需要とも少なく前年比100%前後であったが、切花は前年比79%と、80%をも下回った。

 1990年、日本花き卸売市場協会の取扱高は約4,500億円だった。それが、90年に大阪・鶴見で開催された「国際花と緑の博覧会」で園芸ブームに火がつき、98年には取扱高約6,000億円弱まで達した。しかし、徐々に取扱高が減少し、今やまた約4,000億円弱に戻ってしまっている。人口オーナスが本格化し、冠婚葬祭の縮小化、花き生産者・小売商の高齢化による廃業等が続き、さらに、消費の変化に上手く対応出来ず、この2月に至った。主として60歳代の年金生活者の困惑による消費減、団塊ジュニアの心の窓を叩くアプローチ不足により、車社会の地方を中心に、「このまま花の仕事をしていて良いのだろうか」という、2011年の3.11があった時と同じ危機感を花き業界は持ったに違いない。

 日本はここ20年、殆どGDPが伸びていないのだから、淘汰された業界も多い。生鮮食料品花き業界では、流通革命が的確に行われなかったとし、国がコメ中間流通業者や全農、卸売市場等の流通改革を急ぎ行っている。しかし、実際に日本社会で行われているのは、戦後の生産革命、次いで流通革命、そして、現在の生活者革命だ。例えば小売流通の場合、デパートは選ばれず、eコマース、ドラッグストアや駅ビルが選ばれている。ポイントは、生活者をいかに幸せに出来るか、お客様に買って頂けるかを考えて仕事をしているかどうかではないだろうか。花き卸売市場について言えば、地元の花売り場が儲かるようにする。これを一番の仕事であるということを肝に銘じ、営業収支を合わせて仕事をしなければならない。少なくとも、小売店も、卸も仲卸も、どうすれば、一般の生活者・お客様に買って頂けるか、各社の仕事内容や時間の使い方を変えていかないと生き残れないことが、2016年度の下半期に分かった。

 2017年度は、花売り場繁盛を花き業界共通の目的にして、繁栄の基本であるお金、情報、そして、気持ち(やる気)、これを考慮し、課題解決に向けて行動し、花と緑の経済を活性化させるべきだ。どのみち、我々は死ぬまで生きていくわけだから、因果律と目標が分かったら、そこに向けてやり遂げるやる気をもつこと。これが2017年の業界各社の目標であって欲しい。


投稿者 磯村信夫 : 16:24